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ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2015/06/13 / 09:26

最近の移動手段は専ら自転車で、電車に乗る機会が激減した。

電車の中は俺にとって読書空間である。故に、読書量が減るのは致し方ないことなのだが、それでもやはり週末には書店に行き、新刊なり古書なりを買ってくる。環境が変わっても結局、本が無いと退屈なのだろう。

そんなわけで最近の2冊。

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山口猛・著、安藤昇・述 「映画俳優 安藤昇」

安藤組については、数多の書籍、映画等で語りつくされているから、リアルタイム体験世代(!)ではない自分が彼是口を差し挟む必要もないだろう。

自分が安藤昇という人についての話を読み聴いたり、或いはその写真を見る度に感じること。それは一般に言われる「本物のヤクザ者」としてのそれではなく、「死線を越えてきた者」の凄みである。昔、実際に戦争に行った人が「自分はあの戦争で、既に1度死んでいるから。」と語っているのを聞いたことがあるが、特攻隊員として日々、死を目前にした訓練を行い、しかし戦地に行かず終戦を迎えた安藤氏にも同じ気持ちがあったのではないか。

それゆえ、本書の主要部分を占めるインタヴューの受け答えが非常にクール、或いは諦観しているようなトーンになるのだろう。

「役者としての心構えはありますか?」
「別に無いね。」
「役としてこの役が良かったというのはありますか?」
「無いんだな。『無し』でいいよ。」

とこんな感じ。安藤組時代、或いは俳優時代の(とてもじゃないが放送できない)話にしても自分を大きく見せるではなく、自分がやったことについては淡々と語り、聞き手からの所謂「伝聞」「伝説」の部分に関する問いについては「そうだね」「そんなことは言って(して)ないよ」「それについて俺は知らないな」等々、極めて冷徹な受け答えをしているのが非常に印象的である。

そして本書、先述のインタヴューは勿論だが、「安藤昇について」というエッセイが実に良い。インタヴューを補完して余りある内容になっている。加えて巻末に掲載された2015年4月の最新インタヴューもまた、本編と変わらぬ内容となっている。

しかしこの表紙の写真(アラーキー撮影)、本当に素晴らしい。どうすりゃこんな貌になるのだろう、と思う。絶対に喧嘩をしたくない顔、そして目であるのに、人を惹きつける不思議な凄味がある。「女にとても持てた」という話が素直にうなずける。

安藤氏、現在89歳。数多の子分や知人友人が死んでいった時の流れの中で、一度死を覚悟した者が誰よりも長生きであるというのもまた、因果律なのだろう。

もう一冊。

鮫島の貌
大沢在昌「鮫島の貌」

新宿鮫の短編集。文庫になるのを待っていた。

実を言うと大沢在昌作品は「新宿鮫」シリーズと「らんぼう」しか読んだことが無い。しかし本書を読み、改めて多彩な(多芸な)作家だな!と思った。本作は所謂「スピンオフ」であり先ず、「鮫」本編を読んでからというのが基本なのだろうが、それを差し引いても非常に面白い。1作1作が独立した作品として成立している。作品によって「語り部」が変わる手法は本シリーズでも用いられているが、短編においても良い味を出している。自分が好きな作品は「雷鳴」「亡霊」の2編。

加えて本作、漫画の主人公である「こち亀」の両津勘吉、そして「シティ・ハンター」の冴羽涼(・・・でいいの?俺、読んだことないからわからない・・・)と鮫島との「共演」という異色作が2編。これはあくまでも「御遊び」のレベルなのだろうが、改めて「こういう引き出しも持ってるんだな」と驚いた。

しかし最新作「絆回廊」を読み、そして本書を読むと思うわけだよ。「・・・・晶って、もういなくても話の進行になんら影響ないんじゃないの?」って。作者自身、次巻以降の鮫島と晶の関係についてはかなり悩んでいると思うんだけど、ね。どうでしょう???

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