I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2014/06/25 / 00:55

if ってのは、if だから良い。

それ故、自分達はそのifに対して様々な想像の羽を広げることが出来るのではないだろうか。死産であったからこそ、後世に大きな影響を与えた・・・と考えるなら、なんと宗教的且つ哲学的な話ではないか。

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予てから見たかった 映画「ホドロフスキーのDUNE」 を見てきた。

この作品を見るからには当然、客はフランク・ハーバートの原作小説「DUNE砂の惑星」は読んでいる筈であろう。まさか、原作は知らないけどホドロフスキーが好きだと言いたいためにWikipediaで粗筋だけを流し読みした、なんて「お洒落なクリエイター」や「お洒落なライター」なんて居るわけがないだろう(笑)

ホドロフスキーは言う「預言書のような映画を撮りたかった。だから共に戦う戦士を集めなければならない」と。この時点で既に宗教である。アンタはアーサー王か、と突っ込みたくなるが本人は大真面目である。やがてホドロフスキーの元に素晴らしい才能が集まってくる。素晴らしいストーリー。素晴らしいキャラクター・デザイン、素晴らしい絵コンテ、素晴らしい役者たち。そしていざ船出、という段になってこの壮大なプロジェクトはあっけなく空中分解してしまう。原因は「監督がホドロフスキーなので映画会社が金を出さなかった」という実に皮肉な理由である。つまり「エル・トポ」や「ホーリー・マウンテン」のようなカルト映画監督にハリウッドは当時の金で2000万ドルもの製作費を出すリスクは冒せなかった、というわけだ。

しかしメビウスが描いた絵コンテを紙芝居のように連動させて「再現」された「幻のオープニング」を見た時、「もし」本当に撮影されていたらどんな作品になっていただろう、と興奮してしまった。いや・・・仮に撮影が始まったとしてもコッポラ「地獄の黙示録」のようにトラブルが津波のように襲い掛かり、結果、当初の意図とは異なるこれまたウルトラ級のカルト映画になっていたのではないか・・・と思う。

また本作はキャスティングも大きな魅力だった。レト公爵にデヴィッド・キャラダイン、ポウル・アトレイデ・ムアディヴにホドロフスキーの息子、ハルコンネンにオーソン・ウェルズ、皇帝シャッダム4世にダリ、フェイド・ラウサにミック・ジャガー。この役でこの役者たちがどんな演技を見せるのか、考えただけでワクワクする・・・が、個人的にハルコンネンはオーソン・ウェルズよりHRギーガーの方が遥かに悪党面で合っているのではないか、と思った次第。

あとデザインで面白かったのがオーニソプター。ハヤカワ文庫旧版の石森章太郎イラストで「DUNE」を刷込まれた自分としてソプターは「鳥形飛行機」なのだがメビウスのデザインが完全に「ハエ」だったのは非常に興味深い。

そしてホドロフスキー版DUNEのラスト、ポウルは殺されてしまう。そして死んだポウルの意志が周囲の者達、惑星の大地に伝搬し、砂の惑星アラキスは緑の星に変わると共に軌道を外れて宇宙の深淵に遠ざかり、やがて宇宙と一体化する。原作「砂の惑星」はポウルがクイサッツ・ハデラッハとして星間帝国の全権を握るハッピーエンドだが続篇「砂漠の救世主」において、砂漠に向けて歩み去るポウルは砂虫に食べられて死んでいくことが暗示されている。つまり救世主(ポウル)は創造主(砂虫)に食べられて死ぬことにより、救世主の意志(遺志)は惑星と一体化する。ホドロフスキー自身は「私は原作をレイプして結末を変えてやった!」と豪語するが、決してホドロフスキーの作った結末が常軌を逸していないことが分かるだろう。

この作品、話のネタは「DUNE」だが主役は間違いなくホドロフスキー自身である。実に饒舌に、そして生き生きと喋りまくる。これが89歳の爺さんかと思うほどのバイタリティである。特に映画化が頓挫した後、デヴィッド・リンチ版「DUNE砂の惑星」を嫌々ながら映画館へ見に行った時の感想・・・は是非、劇場で見て頂きたい。場内、爆笑だった事を付け加えておく(笑)

あと一つ、個人的なif をつけ加えるなら、音楽担当がPINK FLOYD でなく HAWKWIND だったら・・・という事。きっとキメキメでぶっ飛んだサントラに仕上がったに違いない。

聖書に「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。」という一節がある。池上遼一「男組」のクライマックスでも引用されている名句である。ホドロフスキーの「DUNE」はまさにこの「死んだ麦」だったのではないか。「フラッシュ・ゴードン」「スター・ウォーズ」「マトリックス」等々・・・ホドロフスキーとメビウスが作った「DUNE」の絵コンテ、カメラワーク、デザインからインスパイアされた作品が如何に多いかがエンディングで明かされているのも面白い。そう、この作品はまさに「生まれなかったからこそ」名作になり得たのだろう。そしてそれもすべて if の話であるのだが・・・・・

しかしホドロフスキーとメビウスが描いた厚さ約20センチほどもある絵コンテ/設定/デザイン集、もし出版されるのであればたとえ万券を何枚か出しても是非、買いたい。

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コメント:

『Re Comments : こんにちは』 猫と薬缶さん
なぜか今、ひょんなことからこちらのブログを見つけました。
ホドロフスキー、気になってました。
彼の昔の映画が渋谷uplinkでやっているようなので観にいこうか迷っていましたが、観に行ってみます。
そして、ひょんなことというのは、こちらのブログのタイトルを検索したからなのですが、どうして"I don't care about you."なのでしょうか?
不思議です、とても。


2014/06/26(Thu) 20:54:29 | URL | [ Edit.]
『Re Comments : Re: こんにちは』 Two Headed Dogさん
こんにちわ。
コメントありがとうございます。

ブログタイトルの由来は「雑誌やレビューサイトの評論家やライターが何を書こうが、そんなものは自分の知った事ではない」という気持ちを、ロスのパンク・バンド FEAR の同名曲に掛けてます。
2014/06/28(Sat) 09:38:12 | URL | [ Edit.]


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