I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2014/04/01 / 00:47

「いやぁ~、ごめんごめん!乗る筈だった飛行機が爆発しちゃってさ!」

これは、或る漫画家の会合に大幅に遅刻してきた手塚治虫の言い訳である・・・と以前、何処かの番組で聞いた事がある。やはり嘘ってのはこのくらい悪意が無く突き抜けたものの方が気持ちがいい。

取り敢えず、エイプリル・フールである。しかし自分は、嘘をつくことが大嫌いだし、冗談にも嘘をついた事は一度も無い。基本的に裏表が無い性格なので「アイツ、死ねばいいのに!」と言う時は本心からそう思ってるし、正義のためならどんな犠牲をも厭わない。さて、このパラグラフ、何処か本心で何処が嘘でしょうか(笑)

4月バカとは全く関係なく、先月末に買ってきた
沙村広明先生の新作「幻想ギネコクラシー」
が例によってツボにハマっている。

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基本的にある漫画家のファンになる場合、その一番の要因は「絵が好き」という1点に尽きるのではないか、と思う。絵は大嫌いだがストーリーが好き、というのは聞いた事が無い。自分が沙村作品のファンであるのもその要因が大きい。加えてフェティッシュなフレーバーがフルスロットルなストーリー・・・というか嗜好にも心を動かされる。でないと刊行されている作品全部(本作で単行本は37冊目、加えて画集2冊、ヴァニラ画廊「蹂躙史エピトマイザ」のブックレット1冊)揃えたりはしない。

そんなわけで「幻想ギネコグラシー」。因みにタイトルの「ギネコクラシー」とは女性上位、女権政治の意味らしい。「ベアゲルター(魂の身代金)」といい、これも現在連載中の「春風のスネグラチカ(雪娘/雪姫)」といい言葉の選び方が実に秀逸である。

本作は短編集で12の作品を収録しているのだが、どれもフェティシズムの香りに満ちた良作である。それでいてクエンティン・タランティーノの作品にあるような元ネタ/オマージュ/メタファーを探すのも楽しい・・・今回の「リジィ」はシン・リジィでなくリジィー・ボーデンなのだろうな・・・そしてラスト「イヴァン・ゴーリエ」以外は例外なく、最後の1ページでガツンと落とす、もしくは「かまくりあん」のようにほわっとした気にさせるというショートショートの定石を守っているのも良い。自分が一番好きなのは「筒井筒」そして「かまくりあん」・・・あ、でも「ソラリッサ」も「ゴッドスレイヤー」も「殺し屋リジィ」もいいな・・・って結局全部か。

あとは毎度の事ながら、描かれている女がどれもふるいつきたくなるほど極上である事・・・これはまぁ、自分の嗜好でもあるわけだが。

そして掉尾を飾る「イヴァン・ゴーリエ」は谷崎潤一郎「刺青」へのオマージュとある。因みに昨年「ヴァニラ画廊」で行われた個展においてデヴュー前、学生時代の漫画作品も展示されており、それが谷崎の「刺青」だったわけだが、原作をそのまま漫画にした後者から年月が経過して前者に辿り着く過程(嗜好の変遷・・・悪く言えば捻れ具合)を考えながら読むのも面白いのではなかろうか。

そんなわけで、次巻も期待大。

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