I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


Entries.

2014/03/28 / 00:48

理想・・・いや、幻想と現実は全く違う。

一時期「原発やめて江戸へ戻ろう」なんてバカ共が居たが、こういう奴等にとっての江戸というのは中村吉衛門版「鬼平犯科帳」のエンディングでジプシー・キングスが演奏する曲に合わせて映し出される「情緒溢れる美しい江戸」の姿なのだろう。蕎麦を手繰り、屋形船に乗り、軍鶏鍋をつつき、芝居や相撲を楽しみ、時には吉原なんぞにシケ込んだり・・・という「物質的には豊かではないが精神的には現代より遥かに豊かな時代」という自分勝手に美化した幻想に憑りつかれて、現実から逃避したいのだろう。

江戸に限らず、中世ヨーロッパ、古代○○といった時代に過大な憧れを抱く人達は先ず、こういう本を読む事をお勧めする。

397b73cf1cd92ffc7c5abe4fefd0f33d.jpg
アルベルト・アンジェラ「古代ローマ人の24時間」

粗筋は・・・書くのが面倒臭いので某所より転載。2000年前にタイムスリップ!
臨場感たっぷりに再現された、驚きの〈1日〉を体験する。起床から就寝まで――食事、服装、住宅、買い物、学校、裁判所……そして公共浴場、剣闘士と観衆、夜の饗宴など、貴族も奴隷も、いかに日々の暮らしを送っていたかを鮮やかに再現した画期的な一冊!

読了して先ず考えるのは「たとえ『ローマ市民』であっても、用心棒を常に雇っておける、若しくは自らが武芸や格闘に秀でた富裕層でなければ絶対にそんな時代に生きたくない」という事だ。

「市民」の大半が衛生状態、住環境、災害対策が最低最悪な狭い集合住宅(インスラ)に住み、家賃が払えなければすぐに一家もろとも路上に放り出される。洗濯に使う洗剤や漂白剤は、公衆便所などから集められた人の小便である。子供が生まれても養っていけない家庭は、ゴミと一緒に嬰児を裏路地に捨てていき、それを野犬が食う。生きながらえても悪い奴がわざと目を潰したり手足を折ったりと不具にして見世物や乞食として酷使する。

一般市民がこんな生活をしているのだから、奴隷の境遇は察して知るべし、であろう。「人」ではなく飽くまでも「物」なのだから生かすも殺すも主人の気まぐれである。人権なんてものは初手から存在しない。万一、奴隷が主人を殺した場合は、その主人の所有物だった奴隷は全員殺される、という話も出て来る。「自分の持っている農機具を壊したからといって行政から咎め立てが無いのと同じ」と書かれている通りで、寝るときもベッドなどは与えられず、廊下の隅で転がって眠る。

円形闘技場へ行けば、罪人を熊やライオンに食わせる公開処刑が行われている。「グラディエイター」や「コナン・ザ・グレート」なんてのは映画だから面白いのであって万一、自分が剣闘士の養成所なんぞに入れられたらもう明日は無いものと刹那的な生き方しか出来なくなるだろう。

幾らローマが広範囲に及んで版図を拡大し、属州を含めた多くの人達を法で統治しようが、それは飽くまでも「当時の時代背景や世相として上手くいった」というだけの話で、こんな人権意識が高く、自由が認められ、治安も良い現代社会で「自由が無い!」だの「人権無視!」だの叫んでいる奴等は一度、タイムマシンにでも乗って古代へ行ってみるといい。1日経たずに殺されるんじゃないか、と思う。

そんなわけで「ローマの休日」ならぬ「ローマの1日」な本書。一番驚いたのはなんといってもローマ人の性生活。「ローマ市民の男性」は相手が異性であっても同性であっても「自分より下位の者としかセックスをしてはならず」「フェラチオされるのはいいが、フェラしたりクリニングスをしたりするのはダメ」というのだから意味不明だ。セックスにおけるクリニングスなんて、東京でトンカツはウスターソースで食うのと同じくらい当たり前の話じゃないのか。

まぁいずれにしても、こういう歴史の本というのは自分の幻想を木端微塵に打ち砕いてくれるから大好きだ。

スポンサーサイト

書籍 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

This Is Your Life / ホーム / 本当に「別テイク」なのかよ(笑)


コメント:


コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する 


トラックバック:

ホーム