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ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2014/03/17 / 00:35

「何故、人を殺してはいけないか」という問いに対する答は簡単である。「法律が殺人を禁じているから」だ。

では法が許せば殺人を犯しても構わないのか?勿論、差支えない。高度な文明社会において人の行動を規制する基準/根拠は全て「法」であるから、法が良いと言えば、殺人でも合法となる。

というわけで「殺しを生業」にした刑事達が活躍する

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都築道夫「未来警察殺人課〔完全版〕」

読了。

オビに書いてある通り従来の殺人課のように殺人事件の捜査を行うのではなく、殺人を犯しそうな奴を発見し、先手を打って殺してしまおうという部署 である。

舞台は遥か未来の太陽系第3惑星、要するに地球である。元から地球に住んでいた人類(つまり俺達だ)は「原住民」と呼ばれ、我々が築いた文明や都市に「居抜きで」入ったように我々と寸分たがわぬ異星人が生活している、という一種のパラレルワールドである。その世界では科学技術の発達とテレパシストの登場により犯罪を行う可能性のあるものは事前に察知され、矯正されてしまう。故に「殺人」という概念自体が希薄になり殺しは「起こってはいけないこと」とされている。それでも心的に殺人願望を抱く者は絶えることなく、「殺人課(第3課)」がそれらを萌芽のうちに摘み取っている。

「SFとハードボイルドを融合させたらきっと面白いだろう!」という事は「MOTORHEADとDISCHARGEを融合させたら面白いだろう」というレベルで誰でも考えつく。
しかしそれをハイセンスな領域にまで高めるとは至難の業であるし、実際「SFハードボイルド」に括られる作品は小説、映画、漫画を問わず驚くほど少ない。捜査員が集団でなく、基本的に1人である、という制約を設けるなら「ブレードランナー」と寺沢武一「ゴクウ」くらいしか思い浮かばない。そんなタフな条件下にあって本書は見事なまでにSFハードボイルドの世界を構築している稀有な例であると言えよう。

何と言っても一番面白いのは、殺人傾向を持つ人間を追う刑事も殺人嗜好を持っているというキチガイじみた設定で、連作短編の其処此処に

「もう○日も人を殺してない」
「早く人が殺したくてたまらない」


という記述が出て来る。昔「ヤングマガジン」か何かに出ていた4コマ漫画に「男女がSEXして変身するヒーロー」というネタがあって何日も怪獣が現れないと「早く怪獣現れないかなぁ~!」と2人で悶々としてる、とい描写があったがまさにそれ。Suicidal Tendencies (自殺傾向)でなく、言ってみれば Homicidal Tendencies (殺人傾向)である。

犯罪者を追ってくる刑事の方が遥かにタフで暴力的だ、という設定も通俗ハードボイルド小説を髣髴とさせニヤリとしてしまうし世界を股にかけて動き回る主人公・星野が日本、諸外国を問わず津々浦々で危険な任務の合間に美女(テレパシストだったりする)とヨロシクやってる描写も、ニック・カーターの「キルマスター」シリーズみたいで面白い。後半になると少しマンネリ化で息切れし始めるのは仕方ないとして、これが昭和の時代に書かれた作品とは驚く。そして非常に面白い。

因みに本作、先日ツイッターでリプライをいただいて調べてみたところ「サイコパス」というアニメと非常によく似ていることが分かった。主題歌が「凛として時雨」らしいのでちょっと見てみたい。

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30年 / ホーム / キングギドラって手が無いよな・・・今更ながらの話だが


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