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ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2013/10/01 / 01:02

10月。

暦の上では、紛れもなく秋である。先週末は、今季初めて袖無しの革ジャンを着て外出した。あと3か月で今年も終わりになる。早いものだ。

日曜日、有楽町で映画「凶悪」を見て来た。「新潮45」に掲載された実話をもとにした作品であるが、自分は原作を読んでいない。よってどの部分が脚色なのかは分からないので映画のみの感想を書く。

      凶悪

本作は、3人の人物を核として展開する。殺人の実行犯たるヤクザ者(ピエール瀧)、ヤクザ者に犯罪の指示を出す「先生」(リリー・フランキー)、死刑判決を受けたヤクザ者の供述に基づき事件の全容解明と「先生」への刑法的・社会的制裁を目指す雑誌記者(山田孝之)である。

この中でヤクザ者と先生のぶっ壊れ方が、素晴らしい。簡単に「じゃぁ、酒飲ませて殺しちゃおう」「僕のところにまだ転がしてない土地があるから、そこへ埋めちゃおう」「次はお前をぶっこんで(殺して)やる」と言ってそれを実行に移してしまう。実際に自分の手で殺人を犯した時はビビッていた先生も、暴力装置たるヤクザ者と絡むことで次第に常軌を逸して行き、「僕が(死体に)火をつけるから!」「僕にも(拷問を)やらせて!やらせて!」と子供のようにはしゃぎつつ凶行に手を染める。事故に見せかけて殺したホトケを遺棄する際も「それじゃ角度が不自然だよ」等、実行犯たるヤクザ者を使ってホトケのポーズ決めをしている場面等、ついつい笑ってしまう。

狂気が行きつく先には、時として笑いがある。これは実際の事件だがあまりに堂々と向こう側へ突き抜けている事への「後ろめたい爽快感」があることを否定できる人がどれほどいるだろう。

この暴力装置たるヤクザ者、尼崎の角田事件で最初に犠牲者宅へ乗り込んでいく在日朝鮮人の男を髣髴とさせるし、当初はビビッていた先生が次第に常軌を逸してくる過程は、最初は気弱だった宮崎学が次第に狂気に囚われて堂々と凶行を重ねて行く姿(調書には「切断した少女の頭部を綺麗にしようと自宅へ持ち帰り、ガレージにある流しで洗ったら既に腐敗が進んでいて髪の毛が抜け落ちてしまった」「自分はもう何をやっても捕まらない超人なのではないだろうか」という箇所がある)と重なる。

そして彼等を追う雑誌記者もまた、尋常ではない。家庭においては認知症の母親を介護する妻(池脇千鶴)を顧みず(終盤、妻が母親を殴っていた、と話す場面が出て来る)、ジャーナリストとして社会正義を実現したい心が次第に「犯罪者に死刑という制裁を加えたい」と渇望する暗黒面に囚われて、幽鬼のような表情に変わっていく様子を見事に山田孝之が演じている。

そして終盤、当初は「全てを話して綺麗な体になって死んでいきたいです」と語っていたヤクザ者が拘置所内でキリスト教の牧師と出会い、クリスチャンとなる事で「神が言うんですよ。『生きて罪を償いなさい』」と言いだして「生」への執着を見せ、先生から「俺達の死を望んでいるのは被害者でも遺族でもない。アンタだ」と指差される場面。本当に「狂っている」「凶悪」なのは一体誰なのだろう、と考える。

大切なのは、この3者の態様はだれの身にも起こり得る、という事だ。人間というのは黒と白の境目にあるグレーゾーンで足掻き続けるものだと自分は常に考えている。ただ、その境界線・・・それを規定しているのが法であり、モラルである・・・を逸脱してしまう、或いはそれが自分の規範と合致しなければ簡単にラインを超えてしまうのか・・・これが「犯罪」であり刑法における「構成要件該当性」である。人は、何処でラインを超えるのだろう。自分の中に持っていた犯罪的因子が何かの切っ掛けで花開くのか、それとも暴力装置、或いは絶対悪のような存在に感化されて「スイッチが入る」のか、はたまた自分の「正義のためならどんな犠牲も厭わない」という信念が何処で「自分が『正義』と信ずるものを実現するためなら何をしても構わない」という狂気に変わるか・・・は誰にもわからない。

分からないからこそ・・・怖いのか・・・はたまた面白いのか。それが分かったら、世の中はこんなに面倒臭くなっちゃいない。

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