I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2013/02/23 / 12:20

昔から「2月、8月は『ニッパチ』と言って商売が暇になる時期だ」なんて事を言うが、事自分のシノギに関しては全く当てはまらないらしい。基本的に神社仏閣などで「商売繁盛」を願えない仕事なので世間様の流れとは違う場所に位置しているのだろうが。

そんなわけでチビチビと読み進めていた

ともしび1 ともしび2
ローズマリ・サトクリフ「ともしびをかかげて(上)(下)」

読了。

話の粗筋は

・・・・西暦407年、ローマ軍団が属州であったブリタニアを放棄して帰国する夜、軍団の10人長だったアクイラは悩んだ末に軍を脱走し生まれ育ったブリテン島に残る決心をする。ローマが引き揚げて数日後、サクソン人の軍団がアクイラ一族の土地を襲撃、家族は殺され、妹は拉致され、自らも奴隷となりユトランド半島へ連行されてしまう。その後、ゲルマン民族の移動に伴いブリテン島に連れ戻されたアクイラは奇しくも再会した妹の手引きで脱走。山中に立て籠もるブリトン人の王子アンブロシウスに合流、やがてアンブロシウス軍の将としてサクソン人を打ち破る・・・

というもの。

歴史活劇として大変面白い。当然、時代と話の相関性からアーサー王伝説に引掛けている部分も多々ある。誰を「アーサー王」のモデルとするかは意見が分かれるところだが、自分はアンブロシウスをウーサー・ペンドラゴン、そして「クマの子」と綽名される騎兵隊長アルトスをアーサーとして思い描きながら読んでいた。

サクソンの集落から脱走したアクイラを助ける修道士の名がニンニアスだというのも、アーサー王について言及された最古の書物と言われる「ブリトン人の歴史」作者である伝ネンニウスに連なる血筋である暗喩であり非常に興味深い。

また本書は、活劇としてでなく没落していくローマ帝国、勢いを増すゲルマン人、ブリテン島に残されたケルト諸氏族の間で揺れ動く葛藤や家族の物語としても秀逸である。

ローマとブリトンの間で悩み、その決断が悲惨な境遇を招いたことにより人を安易に信じることが出来なくなった主人公のアクイラ、そしてサクソンに拉致されて子供を産み、サクソン人の中で生きていかなければならない妹フラビア、アンブロシウスとケルト族の同盟の為、アクイラと結婚させられたケルト族長の娘ネスという3者の物語は重苦しく読者にのしかかる。決して読んでいて心が晴れ晴れしくなるものではない。

しかしその境遇を「諦める」或いは「受け入れる」事によりハッピーエンド、とまでは行かぬものの戦場での敵味方としてフラビアの子と相まみえ、それを密かに助けてしまうアクイラ、そしてその戦いで初陣を果たしそれまで疎遠だった父であるアクイラと初めて心が通い合うようになった息子イルカという双方の子供達によって繋がれていく話の運び・・・タイトルになっている「ともしびをかかげて」の意味が終盤になって見えてくる構成に感動する。

このような素晴らしい作品が「児童文学」の括りに入れられ児童書のコーナーに隔離されているのは甚だ疑問に思う。歴史小説を愛好する人達には是非一度、手に取っていただきたい逸品である。

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