I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2012/11/17 / 02:31

11月も半ばを過ぎてしまった。

今年もあと1か月半で御仕舞だ。外を歩いていると、もう晩秋ではなく初冬である事に気付く。空気が冷たくなった。明け方、寒さで目が覚める。もうそろそろ暖かい毛布と熱いクラムチャウダーが恋しくなる時期に来ている。


突然だが、「怪談」は絶対、夏よりも冬の方が怖く感じる。大体、東京の夏の平均気温がタイやインドの年間平均気温を超えてしまうようなキチガイじみた夏の東京、うだるような熱帯夜は怪談よりアイスノン枕の方が遥かに涼しくなる。個人的に、寒くて暗い冬の夜の方が、怪談は怖いに決まっているだろう。冬は、魔物が跳梁跋扈する季節なのだ。

というわけで、ちびちびと読み進めていた

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    岡本綺堂 「三浦老人昔話」、「青蛙堂鬼談」

読了。

前者、名作「半七捕物帳」にも登場する三浦老人が語る昔話。

「半七」が探偵小説の体裁を持つ作品であるのとは対象に此方は奇談。ただし「半七」にも怪談風味の作品があるように語り手が変わればどちらでも使えるネタなのではないか、とも思う。ドナルド・E・ウェストレイクが「成功した犯罪は『悪党パーカー』、失敗した犯罪は『ドートマンダー』」と分けているのと似ているかもしれないが、飽くまでも「スピンオフ」という感じである。

後者、「青蛙堂」(これで「せいあどう」と読む)は百物語形式で一所に集まった男女12人が披露する怪談。

怪異の源は目隠しをされた猿の面や代々伝えられてきた笛、といった「物」に纏わるもの、馬や蛙、蟹や蛇といった「動物」に纏わるもの、そして「人」に纏わるものという3パターンあるのだが、その中でも「蛇精」「一本足の女」の2作はお気に入りである。

前者、人ならざる力を秘めた蟒蛇(うわばみ)狩りの男、後者、大層な美形であるにもかかわらず脚が一本しかない片輪者の少女の話である。巨大な蟒蛇と対峙してこれを殺す事を生業とする男や、色欲で男を虜にしては夜な夜な辻斬りをさせ、その返り血や刀身にこびりついた血液を啜る異形の美女は何処となく、半神半人のダークヒーローやジョン・ジェイクス「戦士ブラク」に出て来る吸血双生児、或いはC.L.ムーア「ノースウェスト・スミス」のシャンブロウに通じる生臭さとエロティックさを併せ持っているようにも思える。

これからの寒い冬の夜、毛布にくるまりながらこのようなオールドスクールな「怪談」の余韻に浸るのも、血飛沫飛び散るスプラッター映画とはまた違った恐怖の楽しみであるのかもしれない。

加えてこの2作品、表紙と口絵を飾る、山本タカト氏のイラストが大変素晴らしい。


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