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ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2012/10/10 / 01:18

先日、書店で見つけた

    tanizaki.jpg
    谷崎潤一郎「フェティシズム小説集」

読了。

昨今は三省堂のような超メジャーな書店でもコミックのコーナーに行けばデカデカと「BL」等と貼ってある御時勢なので、フェティシズムなんて言葉も市民権を得ているのだろう。

収録されているのは

「刺青」
「悪魔」
「憎念」
「富美子の足」
「青い花」
「蘿洞先生」

の6作品。

谷崎作品について自分は、新潮文庫版を中心に読んでいた事から、此処に収録されている作品は「刺青」の他は未読だったので良い機会だと思い手に取った。「刺青」を最初に読んだのは中学生の頃で、以後、折に触れて読み直してはいるのだが今また精読してみるのも良かろうと思った、という理由もある。

谷崎作品について語られるとき、必ずと言っていいほど「マゾヒズム」「フェティシズム」の2語は登場するわけだが、自分はそれらすべて通り越して行きついた先はマザコンに端を発する女性崇拝ではなかったか、と思っている。しかし、こうしてフェチ、特に脚フェチ絡みの作品を中心とした短編集を編んだ出版社もなかなか面白い趣向を持っている。「刺青」にしてからが「光輝ある美女の肌を得て其処に墨を入れたい」という彫師の欲望が発端なわけだが、結局、女を選ぶ要素が「駕籠に乗る際、チラリと見えた足」である。要するに

「結局、肌とかどーでもいーんだろ!足に墨入れんのかよ!(笑)」

という事。

そして改めて読んでみて、この男(谷崎)筋金入りの変態だな、と思う。特に「富美子の足」で絵のモデルになる富美子のポージングに関して延々と書かれている内容は圧巻である。

「こいつ、頭の中、妄想でパンパンにして書いてるのだろうなぁ」

と手に取るようにわかる程、熱情に溢れ、筆がその力に動かされている。

60過ぎの老人が臨終の際、17歳の妾である富美子の足で顔を踏まれたまま逝く場面 も秀逸である。こんなシーン、本人は天国だからいいのだろうが、駆け付けた家族(娘)には地獄、周りはドン引きである。

「悪魔」にしても 女が洟をかんだハンカチを盗み出し、トイレに篭って付着した鼻水をベロベロ舐め回す場面 は最高である。やはりフェチを名乗るからにはこのレベルまで行かないとダメだ、と改めて思う。

冒頭に書いた通り、昨今は「フェティシズム」という言葉も市民権を得て(?)そこら辺のチャラい連中が軽く「俺、脚フェチでさ~」だの「俺、巨乳フェチなんだよね」などという発言をしているのを耳にするが、そのたび「お前のフェチってなんだよ」と思う。

ハッキリ言って、巨乳AV嬢のAVで抜いてる程度は「巨乳フェチ」でもなんでもない。フェチであるか否かの分水嶺は「アロマ企画」等で出している「乳しか映ってない」「モノを食ったり飲んだりする女の口しか映っていない」ような作品で抜くことが出来るか否か、だと思う。単に女性の足に性的興奮を感じるなんてのは別にフェチでもなんでもない。本当のフェチなら、洗ってない指の又を舐め回すことが出来るか、或いはこの作中にあるように 足指の間に飲み物やスープを染み込ませた布を挟み込み、それを口でちゅーちゅー吸えるか という事である。

村上龍「トパーズ」が流行って以降、軽々しくSだのMだの言う連中が増え、一部では 「俺、Mなんだよね~」と発言するのがあたかも知的であるかの如く勘違いしてる輩 がいるわけだが、フェティシズムにしろサド・マゾにしろ元を質せば「変態性欲」である。おおっぴらに語る類のモノではない。逆に「ひそやかな楽しみ」であるが故、純度の高い快楽になり得るのではないだろうか、と思う。

因みに本作のあとがきで女優の田中美里氏が「ひょっとしたらもうこの本に書かれている世界を知っている、なんて人もいたりして。だとしたら、ちょっと怖い(笑)」と書いておられるが、自分は刺青は入れていないし脚フェチでもないが、此処に書かれている事の多くは実体験している。であるから「青い花」で女の買い物に付き合いながら妄想を巡らせる主人公の気持ちは手に取るほど、良く分かる(苦笑)

そんなわけで、漸く秋らしくなってきた昨今。部屋の窓を開けて夜気を入れつつ純度の高いフェティシズムの世界の浸ってみるのも乙なものかもしれない。また此処に治められた作品群が名作「痴人の愛」に結実していくのだな、という読み方もできる。

最後にもう一つ。「悪魔」の1節

「きっとあいつは照子に惚れて、onanism に没頭した結果、馬鹿になったのに違いない。」

「オナニーをしすぎるとバカになる」という話はよく聞くが(笑)、すでに明治時代からあったのか・・・と笑ってしまった。


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