I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2012/10/08 / 09:52

体育の日、らしいが俺は部屋で読書していたりする。そもそも「体育の日」なんてモノをわざわざ作ってこれ見よがしに「運動しましょう」なんてのはあざとくていけない。

そんなわけで今週、チンタラと読み進めていた

   9784167670061.jpg
       山本一力「梅咲きぬ」

読了。

先日まで読んでいた氏の「損料屋喜八郎」シリーズにも登場する深川の老舗料亭「江戸屋」女将、4代目秀弥(玉枝)の物語。

粗筋は・・・景気の低迷が続く宝暦年間、深川の老舗料亭「江戸屋」を凜として守る女将・3代目秀弥とその娘・玉枝。幼くしてすでに次の女将を襲名すべき運命を背負った玉枝は、母や周囲の厳しくも温かい目に見守られながら、やがて誰からも認められる老舗の女将として、大きく成長してゆく・・・というもの。

読んで、驚いた・・・いや、ぶっ飛んだ。玉枝を育てる3代目秀弥の言動、行動が自分の母親と全く同じだったからだ。

「質素とみすぼらしさの違い」
「己の『分』」
「『みっともない』『野暮』という概念」
「楽な事を子供の時分から覚えるなかれ」

等々幼い玉枝が3代目・秀弥から教えられる「大人としての社会の接し方」踊りの師匠・春雅(しゅんが)から教えられる作法。文言は微妙に違えども自分は親や親戚から同じことを教わり、叱咤され育ってきた。

これは、自分の曾祖母が新橋の花柳界で三味線の師匠をしており、代々新橋~銀座に居を構え、華やかな客筋との付き合いが(うちは東京っ子であれば誰でも知っている某有名政治家を輩出した家系の妾腹である)頻繁で、且つ自分の母親も曾祖母から「江戸っ子の作法」を徹底して仕込まれていた事と密接につながっている。生粋の深川っ子である秀弥の周囲にあって、唯一、春雅夫妻のみが関西人であって事と自分の家系で祖母のみが大阪人であった事も良く似ている。

これから先、自分が家庭を持ち、子供を授かる事があるならば、その子はやはり江戸前の「粋」を伝える子になるのだろう。安きに流れて心意気や魂が腐らない限り、伝統は継承されて行く。やはり血は争えない。そんな事を思い知らされた1冊である。

しかし驚くのは、作者の山本一力氏は東京出身ではないのに此処まで細やかに東京っ子の心意気を描くことに成功している点である。

東京の作家と言うと一般的にまず思い浮かぶのが池波正太郎と浅田次郎の両氏だろう。時代も育った背景も違う池波氏にはそれほど大きなシンパシーは抱かないのだが、浅田次郎作品には心を動かされることが多い。

特に「ネクタイと江戸前」もまさに自分の親、再登場!という感じで痛快である。万一、浅田氏と山本氏にお会いする機会があれば開口一番

「あの・・・私の母親と何処かで会ってますか?泰明小学校の頃、棒っきれで叩かれたとか、学生時代に啖呵切られたとか・・・」

と尋ねてみたいものだ。

まぁ・・・最後に落とすけど・・・これはあくまでも「小説」の世界なので実際はこんな粋で鯔背で威勢のいい大人ばかりではないよ、過大な幻想を抱きすぎないでね・・・江戸前好きが昂じるのはいいけど神田「まつや」「藪」の前に行列するような野暮は止めてね、と思うわけだね。

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