I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2012/06/24 / 09:56

ひところに比べれば、雑誌等での宣伝も功を奏して(?)「南インド料理」というものも一般に浸透してきたように思う昨今。しかし実際問題として南インド料理の大きな「売り」であるミールスを「混ぜて」食べない客が非常に多いように見受けられる。これは何時頃、誰が言いだしたかは分からないが「カラーを混ぜて食べるのは汚い」という風潮が刷り込まれてしまったためだろうと思う。

混ぜ1

よく

    「カレーを混ぜて食べるのは是か非か」

という問いを見かける。ヤフー知恵袋辺りで検索しても色々と出て来る。双方、言い分はあるのだろうが結論はひとつ。
 
    インドにおいてカレーは混ぜて食べるものである

それが嫌なら、カレーなど食べなければよい。

百歩譲って、インドを植民地にしたにも関わらずスパイスを使いこなせなかったイギリス人が苦肉の策として(笑)考案したカレー粉がベースになった日本のカレー、或いはやたらと客と店員がスカしてふんぞり返っているが「ヨーロッパじゃそんなもの食べちゃぁいませんぜ、旦那!」というなんちゃって「欧風カレー」については混ぜても混ぜなくても個人の自由でお好きなように、と思う。しかしインド料理においてカレーを混ぜる、という行為はスパイスと味の混交により、全く違った旨味が出る、という結果に直結する。つまり混ぜるか混ぜないかで生じる結果が全く違うのだ。

そう書くと、

   「最終的に口の中で混じってしまうのだから混ぜても混ぜなくても同じ」

と主張する人間が居る。所謂「屁理屈」である。
そういった輩には

   「じゃぁ貴方はコーヒーを飲む時、先にコーヒーを口の中にいれて、あとからミルクと砂糖を口に入れてぐちゅぐちゅぶくぶく混ぜるのだね?」


と返せばいい。

要するに、ターリであってもミールスであってもビリヤニであっても、プレートの或いはバナナの葉の上で他のカレーやサブジ、ヨーグルトとぐちゃぐちゃに混ぜる事こそ、インド料理を最高に美味しく食べる最善の道、なのだと思う。

と書くと今度は

   「確かに美味しいかもしれませんが見た目が汚いのはマナー違反です!」

と主張する奴が現れる。
じゃぁ

   貴方は食事の際、本場の食べ方や味よりも見た目を優先させるのか

と思う。

汚いか汚くないか、というのは衛生上の問題が無ければあくまでも主観論であり「後天的な刷込み」である。などとかくとまたぞろ「お前は普段から、食事の際にクチャクチャ音を立ててる人間を糾弾してるじゃないか」と言う輩が現れるのだろうが、それとこれとは問題の根本が全く違う。インド料理は混ぜて食べるのが正しい食べ方であるのに、それをマナー違反という事に自分は異を唱えているのであって、クチャクチャ音を立てて食べる事についてはだれも「それは正しい食べ方です」とは言っていない。

本論を外れるが、食べる時の音について。自分は日本の蕎麦、うどんを手繰る、食べる時は音を出す。それが正しい食べ方だからだ。半面、タイ料理やシンガポール料理店で麺類を食べる際は極力、音を出さない。それが正しい食べ方だと聞いたからだ。シンガポール、マレー料理の場合はちゃんとスプーンのエッジで麺を短くカットして、スプーンで食べる。音や見た目も含め、正しいのはその国の流儀で食べる、という事だ。

話を戻して、ゲッペルスの発言「大きな嘘でも繰り返すことに依って真実になる」のと同様、そしてオウムの「お布施するぞお布施するぞ、もっとハードにお布施するぞ」と同様、インド料理を食べた事も無いようなどこぞのマナー講師、マナー評論家のような婆さんが「カレーを混ぜるのが汚い」と言い始める、それが繰り返されると何時しか「嘘も真実」になってしまう。

銀座・三原橋交差点のすぐ横に「ナイルレストラン」というインド料理店がある。都内では「アジャンタ、中村屋、デリー」と並ぶ4大老舗の一つである。そのナイルレストランの一押しメニューであると同時にその推し(笑)が一見の小心者を固まらせてしまう「ムルギランチ」というプレートにカレー、サブジ、骨付きチキン等が盛られた料理がある。これを普通どおり食べようとするとすかさずナイルさんや1階常駐の恰幅のいいインドおじさん(名前失念!)がやってきて

    「まじぇて(混ぜて)たべてね!」

と言う。3代目がお店に出るようになって昨今はあまり言わなくなったが昔は混ぜ方が足りないと

    「もっと混ぜて、混ぜて。混ぜた方が美味しいよ!」

という檄が飛んでいたものだ。自分はムルギランチを食べたのは2回だけでいつもは他の料理を食べているので言われたことは無いが、行くたびにこの光景を目撃するのはある種の「風物詩」である。これを見聞きすると「あ~、ナイルに来たな」と思う。混ぜた方が美味しい、そしてインドでは混ぜるのが常識、という事をいち早く体現、日本人に教えてくれていたのがナイルさんだった、というわけだ。

つまり、

当のインド人自身が「カレーは混ぜて食べる」のは当たりであり、それが正しい食べ方であると教えている。それを日本人が「マナー違反だ」と言えるのだろうか?だったらあなたはカレーを、少なくともインド料理を食べに行くべきではない。


ではもし、日本の握り鮨を食べる際、ごはんからネタを剥がし、それだけ醤油につけてたべてからご飯を口に入れて食べるのが「マナー」だという国があったとしよう。日本人なら「その食べ方は違う!」と誰しもが思うだろう。インド料理についてもそれは全く同じ。「郷に入れば郷に従え」である。その国の人が当たり前に食べている手法を「それは汚らしいからマナー違反」と否定するのが如何に本末転倒で誤った指摘であるか、という事である。

だから、インド料理店に行った際はできれば自分の右手指で(そして更に可能であれば拇指、示指、中指の3本の指のみを用いて)、プレートに乗せられた色とりどりの料理をグチャグチャニ混ぜて食べる事に挑戦していただきたい。日本のわけのわからない「マナー」などに囚われていたら損をする。そんなもの店に入ったら捨ててしまえ。

混ぜ2
混ぜ混ぜ最終形態。でもちゃんとラッサムとヨーグルトは確保。この後、これにヨーグルトをかけてさらさらっと頂く。

FT.jpg
此方、フィッシュ&チップスのマサラ風。英国パブの定番料理F&Cがインド式に生まれ変わった一品。ちゃんとライタ(ヨーグルト)がついているのが高得点@八重洲「南インド&バル エリック・サウス」



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