I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2012/06/08 / 01:26

仕事が忙しい時は、単純明快な物語が読みたくなる。尤も、再三書いているように普段からリアリティ皆無の「本格推理物」は大嫌いなわけなのだが。

そんなわけで

    mori JC
     J.C.ボックス「沈黙の森」

読了。

それなりに有名なシリーズらしいのだが「このミステリーがすごい!」といった書評を一切読まないので、流行には非常に疎い。読了してから、以前読んで大層感動した「ブルー・ヘブン」の作者と同一人物であることを知った体たらくである。

話の粗筋は・・・その前に、主人公はスティーヴン・セガールでない事をお断りしておく・・・ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット。気持ちは優しいが、州知事を偶然検挙してしまうような不器用な男。ある日裏庭で娘と見つけた死体は、かつて彼の銃を奪おうとした密猟者だった。次いでキャンプ場にも2人の死体が。調査を開始したジョーは大きな陰謀に巻き込まれていく・・・というもの。

このジョーという男、前記のように許可証を持たずに猟をしていた知事を偶然検挙したり(って何処が悪いんだ?適法な処置だろ)、密猟者に銃を奪われ街の笑い者になったり、極貧状態で家族に真っ当な生活をさせてやれなかったり、「ボーっと考え事をしている表情がバカに見えないか心配」と奥方に思われる等々かなりトホホな奴である。しかしこのトホホな男が、職を追われかけ、プライドを傷つけられた挙句、家族が生命の危機に晒される過程で次第にタフな男へと変貌していく過程が非常に良い。ジョーの長女シェリダンがとてもいい味を出しているのも高得点。

まぁ、悪い言い方をすれば「普遍的且つウェスタン風アメリカン娯楽小説」なのだろうが、自分はこの手のブツが大好きなのだから仕方ない。例えば、ハードボイルドのマイク・ハマー・シリーズでもそうだが、ほぼ徒手空拳の状態から巨大な敵に立ち向かい、最後は自分の手でカタを付けてしまう、不可能を可能にしてしまう行動力、信念、バイタリティは冒険小説、ミステリ、SF等ジャンルの差異を問わずウェスタンの時代からアメリカ人の魂の奥底に流れ続けている水脈のようなものなのだろう。

そしてそんな男を支える家族の絆。ジョーの妻メアリーベスがジョーに言う言葉

「ジョー、全てが失われたわけじゃないわ。貴方には、私がいる。家族がある。貴方には気骨がある。沢山あるじゃない。私たちは貴方を愛しているし、貴方の人柄もしてきたことも尊敬している。」

「ジョー、貴方はいい人よ。そういう人種の、貴重な生き残りよ。それを忘れないで。貴方みたいな人は、もうあまりいないわ。善良な心の持ち主だし、貴方のモラルは模範となるべきものよ。自分がしなければならない事をして。」


LYNYRD SKYNYRD "The Last Rebel" の歌詞

"There'll never be another like him
He's the last of a dying breed
Ain't no use in tryin' to tame him
'Cause he's the last rebel"

を髣髴とさせる言葉である。

こんなセリフを愛している女に言われて、奮い立たない奴は男を名乗る資格が無い。この手の物語が日本ではイマイチ受けないのは要するに、そういう気骨と信念を持った男と女がいなくなってしまった、という事なのだろう。自分は、常にそういう男でありたいと思ってきた。例え、絶滅種の最後の一人になろうとも、な。



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まとめwoネタ速neo 2012.06.09 16:03

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