I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


Entries.

2012/04/11 / 01:11

最近、神保町の書店や八重洲ブックセンターのような専門店の品揃えを見ていて気付いたことがある。

   「ひょっとして今、時代小説・・・・流行ってるのか?!」

以前は書店の隅に押しやられていた時代小説がかなりの売り場面積を占めるようになってきている。尤もこれは大都市圏に限られるのだろうが、品数が増えている事だけはよくわかる。

子供の頃から、時代劇が大好きだった。当然の帰結として、時代小説も読むようになる。中でも好きなのは活劇である。最近流行っている、サラリーマンの悲哀を徳川時代へ持って行っただけ、或いは恋愛ドラマの時間軸を300年位巻き戻しただけ、みたいな辛気臭い作品は大嫌いだ。以前も書いたが、自分とって読書というのは現実逃避の手段である。何が悲しくて、時代小説の中で迄リーマン社会なんぞの悲哀を読まされなくてはならないのだ。

自分が一番入れ込んだのは、「眠狂四郎」を始めとする柴田錬三郎作品だった。一般に評価の高い司馬遼太郎とか、山本周五郎ってのは・・・・全然面白くなかった。荒唐無稽なくらいハッタリかましたような活劇が無いと燃えない。

おらんだ異常

そんなわけで最近になってまた柴錬熱再燃で読んでいた「おらんだ左近」「異常の門」の2冊。トチ狂った設定アリアリで大変面白い。暗い出生の秘密を持つ凄腕の剣士、それに対するこれまたトチ狂った凄腕の敵、道連れとなる小悪党、忍者、美姫、怪人入り乱れての壮絶な斬った張ったやったやられたの荒事は何時読んでも堪らない快感を与えてくれる。

例えば「おらんだ左近」。実は尾張大納言の御落胤でありながら若いころに藩を出奔し長崎からヨーロッパに渡り5年間、オランダ医学を学んで帰国。その間に剣術を修める。という変わり種。登場の仕方からして馬ではなく疾走する「馬車」に乗って、である。西部劇かい(笑)それに絡むのが清朝によって無理やり宦官にさせられ日本に逃げてきた「宮本武蔵」を名乗る漢人の鑓術使いだったり、慶長大判を巡る無意味な仇討であったり、女隠密であったり・・・・と飽きさせない。不満を言えば、短編6作だけなのでせっかくの美味しい設定が尻切れトンボ気味に終わってしまった事だろうか。

続いて「異常の門」。既に表紙絵からして異常である(笑)デカすぎる首がぶっ飛んだイラストは余りにインパクト大、大、Die Hard!!! であるが内容もぶっ飛んでいる。眠狂四郎とタメ張る凄腕の浪人者にして元公儀隠密「地の組」7番こと夢殿転(ゆめどの・うたた)という主人公からして既にイカれてる。そして転の宿敵、十六夜十兵衛(いざよい・じゅうべぇ)は隻腕・隻眼にしてウルトラ級の居合の達人である。そして天下を揺るがす「大奥帖」「天皇帖」を巡り、公儀隠密、転を匿う謎の老人「闇斎」、犯された美しい尼僧等が絡み合い・・・という冒険が展開する。

これら作品の面白味はそのようなぶっ壊れた登場人物の設定のみならず、今では描けない描写を多用している点であろう。例えば、転と十兵衛が対峙している所に加勢してくるのが浅草の非人集団である。当然、作者は吉原門外(今の浅草・千束)に徳川時代に品川と勢力を2分した「非人溜」があった事を承知して書いている。余談だが、池波正太郎作品にそのような話題が一切出て来ないのは、浅草出身の作者にとって自分の近所が「溜」だった事は言いたくなかったのだろうな、と思ったりする。

柴錬のみならず笹沢佐保の作品においても当時の時代背景(の影の部分)がかなり詳しく活写されている。やはり今の時代、こんな設定で話を書いたらすぐに「言葉狩り」にあってバカな左翼プロ市民共が押しかけてきては人権だの差別だのと叫び始めるのだから本当に嫌な時代になったものだ、と思う。

TVでも当然、昔やっていたようなチャンバラものは消えてしまい、学芸会のようになってしぶとく生き残っていた「水戸黄門」も終わってしまった。今の「清盛」のような「変な(笑)」ウケ方をする時代物も面白いが個人的にはやはりチャンバラと活劇のあるぶっ飛んだ作品に復活してもらいたいところ。



此方、御馴染み雷蔵版「眠狂四郎・円月殺法」なのだが・・・・Sleepy Eyes Of Death ってか(笑) でもって「円月殺法」が "Full Circle Killing" って直訳だよね。しかし以前も「子連れ狼」に出てくる「土蜘蛛五車の術」が "Tsuchigumo Five Wheels Technique" だったからなぁ(苦笑)



スポンサーサイト

書籍 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

ニュー・ウェーヴ・オブ・ブリティッシュ・・・・ / ホーム / 終わっていようが、俺には関係ない


コメント:


コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する 


トラックバック:

ホーム