I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2012/03/27 / 00:34

旅行中からちびちびと読み進めていた、

    エリス号
 山口芳弘「豪華客船エリス号の大冒険」

読了。

「雲上都市の大冒険」「蒼志馬博士の不可思議な犯罪」に次ぐシリーズ第3作。今回も、オールドスクールな探偵小説と冒険活劇のミクスチャーが楽しめる良作となっている。

話の粗筋は例によって書くのが面倒なので某アマゾンから転載・・・

 荒城の事務所を一人の男が訪ねてきた。戦前、欧州からの引き揚げ船で見た並走する船の消失事件。その船上にあった美女の像の謎。それらを解明してほしい―。だが男は豪華客船への招待状を残して殺害されてしまう。船へ乗り込んだ荒城と殿島を待ち受ける密室殺人と伝説の犯罪者・夜叉姫からのメッセージ

・・・というもの。

このシリーズの面白さというのは、気障でナルシスト、眉目秀麗で常に白いスーツと帽子という出で立ちの行動派探偵・荒城、そして左腕が義手で常に学生服を着用する頭脳派探偵・真野原という2人の奇天烈な造形もさることながら、昭和20年代後半~30年代前半、戦後の混乱期から漸く脱却して現代への階段を1歩1歩登り始めた時代の日本という舞台背景である。徐々にではあるが一般に、そして司法警察における手法にも「科学」が取り入れられ始め、そしてその陰でいまだに蠢く乱歩的猟奇世界が渾然一体となった時代である。

であるからこの辺りの面白さが分からないと、「本格度が足りない」「なんだ冒険活劇じゃないか」という頓珍漢な批判をする羽目になる。そもそも何なのだ「本格度」というのは。まるでプログレやジャズを聴いている事を鼻にかけ他のジャンルを見下すダサいじじぃと同じではないか。本格だって所詮は荒唐無稽な物語に過ぎない。ホント、しゃらくせぇ。

加えて本作で描かれているのは「消えゆく者への憧憬」である。先述の通り次第に科学が進み、街から闇が消えれば人々の心から次第に闇に対する恐怖は消えていく。昔のような探偵Vs怪盗・怪人」という図式など成立しなくなってくる。ペキンパー「ケーブル・ホーグのバラード」「ワイルド・バンチ」での時代に取り残されて消えていくガンマンであったり、既に「家の屋根板を切り裂いて侵入する江戸から続く盗み伝統芸」などという技術が全く通じなくなった現代における浅田次郎「天切り松」シリーズと同じ「滅びの美学」であり「男気」であり、または「粋」なのだと解釈することもできるのではないか、と思う。

自分にとって読書は現実逃避の手段である。だから実録だの本格なんてのはお呼びでない。実録だったら、いくらでも手元に「現実は小説より奇なり」な資料がある。TVをつければ「リアルな」捜査だの鑑識活動、猟奇殺人だのを取り入れたドラマが花盛りだし実際、見ていたりもするのだが此方の興味は「科捜研の女」にしろ「臨場」にしろ如何に「間違ったやり方が描かれているか」といった間違い探し的興味の方が大きかったりする。

そんな時代だからこそ自分は「ロマンチックな」「ノスタルジックな」冒険活劇が読みたい。荒唐無稽?上等じゃないか。楽しいじゃないか。乱歩だって横溝だっ久作だって十分すぎる位、荒唐無稽ではなかったか?俺はこのシリーズ、大好きだ。そしてやはり映像化するのであれば荒城はGACKT、真野原は妻夫木聡、しか思い浮かばない。

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