I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2012/03/26 / 01:39

銀座「ヴァニラ画廊」で開催されていた、漫画家・紗村広明さんと人形作家・森馨さんの展覧会「蹂躙史エピトマイザ~ある幻想の娼館」を見に行ってきた。

エピトマイザ

娼館・・・とは言っても一般に想像されるであろう、金次第で手練手管を積んだ美女・美少女・美熟女がねっとりとりしたエロエロなサービスで快楽に導いてくれる場所・・・ではない。登場するのは少年を思わせる体躯の腹部に女性器のような「裂け目」をつけられ、或いは片目、片腕を喪失し、身体の彼方此方に包帯を巻いた異形の少女達である。

時々、「この人、今の仕事をしていなかったら絶対アレな人になっていたのだろうな・・・」と思う事がある。例えば、超有名な某アニメ監督など、作品をTVで見るにつけ「あー、この人、アニメ作ってなけりゃ絶対にただのロリコンおやじになっていたのだろうな。」というのと同様、やはりヴァニラ画廊にて2008年に行われた「沙村広明原画展 『娘達への謝罪』」を見た時は失礼ながら「あ、こりゃぁヤバいね。モノホンのサディストだ。」と思ったものだ・・・・が、何故か作品に魅入られている自分が居るのもまた、事実だった。

今回の作品展も、和風の娼館という舞台ではあっても基本的に物販でも売られていた漫画作品「ブラッドハーレーの馬車」と同じく先述の美少女達が性的、或いは肉体的暴力、折檻を受けてボロボロになっていく、という全く以て救いのない世界が展開している。そのイメージをさらに増幅させる、此方もまた美しくしかし異形でもある少女の球体関節人形・・・人形でありながら魔が宿っているような・・・とのコラボも素晴らしい。

作品今回の作品展は成人指定だが、おそらく成人であっても「普通の」人達が見に来たら気分が悪くなる類の作品かもしれない。しかし自分は今回もまた、魅入られたように作品を食い入るように見つめてしまう。前出「ブラッドハーレー」の登場人物のセリフではないが

「こんな目で射られたまま抱けというのか?!」

という、それでいて何処か自分の魂奥底に宿る獣性を否定出来ない感覚。「折檻Ⅰ」という作品の左側に描かれた襦袢をだらしなく着こんで右目に眼帯を当てた少女が自分を「呼んでいる」ような気がして仕方ない。こんな凄惨な場面、そして目に哀しみと諦めを湛えた少女たちに何故か美しさを感じてしまう俺の魂も、何処か歪んでいるのだろう、多分。

変な話、フィクションの世界において身体の一部を欠損することによって、或いは異形であることに依って生じるある種の神(秘)性というものは確実に存在すると思う。例えば、北欧神話の主神・オーディンは全知を得るため片目を差し出し、ムアコックの「紅衣の公子コルム」は敵の拷問によって失った片目と片腕に神の義眼と籠手を装着して人ならざる力を得る。これは多分、異形であったり不具であったりした者がコミュニティから疎外されていたという歴史の裏返しなのかもしれない。(例えば「河童」は疫病に罹った「川原者」の姿を薄暮時などに見たためであろう・・・という考察等)

とまぁ展示を見つつ、こんなことを考えながら画廊を後にした。今回も非常に濃くて心に訴える展示を見せていただいて感謝している。ただ一つ残念だったのは、既に図録(パンフレット)が売り切れてしまっていたことだ。もし機会があれば是非、再発していただきたいと願う次第である。

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