I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


Entries.

2012/01/04 / 01:21

若松孝二監督、原田芳雄&桃井かおり主演

        ready to shoot
       「われに撃つ用意あり」DVD

を見ていた。

学生時代にVHSで見て以来、長らく廃盤になっていたのだがこの度、初DVD化で復活。90年代の新宿を舞台にしたアクション/サスペンス物。

粗筋を書くのが面倒臭いので例によって某所から転載。

国際都市・新宿で生きる孤高なアウトローの世界を描いた原田芳雄主演のアクション。かつて全共闘闘士だったスナックのマスター・郷田が20年続けてきた歌舞伎町のスナックを閉店する日、警察とヤクザから追われて逃げ込んで来たひとりのヴェトナム人女性を匿うが・・・

という話。

まず最初に言っておくと、俺は学生運動だの全共闘だのという運動に加担していた世代が大嫌いだ。

   「戦争を始めた世代、それに戦いを挑んだ俺達全共闘世代」

という図式は反吐が出る。社会に騒乱を撒き散らし、新宿駅や大学を占拠して・・・要するにただのテロ活動だ。それを「闘士」などと美化して

   「俺達が若いころは本気で社会と対峙していた」
   「社会を変えようと戦っていた」

等という戯言をただのサラリーマンおやじや日教組の教員風情が偉そうに語る様は価値観が60年代、70年代で凍結して時代に取り残された抜け殻のようで本当に哀れに思う。そういう親に育てられると子供も必然的に「イラク3バカ人質事件」のような人間になってしまうのだろう。

本作の中でも、閉店パーティーに集まってきた「かつての仲間達」は新宿騒乱事件当時の「武勇伝」を得意気に教え子に語り、都議会議員になった女は「外国人の駆け込み寺」を創設すべくカンパを募っている。

しかしいざ、目の前にヤクザ者に追われたヴェトナム人女性が逃げ込んで来て、且つ仲間の一人が撃たれるという光景を目の当たりにして

    「明日子供をディズニーランドに連れて行かなきゃならないから」
    「『外国人駆け込み寺』はまだ準備段階だから・・・」

(VHS版では確か「私は明日集会があるから・・・」という件も収録されていたと思うのだが・・・・)と
数時間前の「武勇伝」は何処へやら、とっとと尻尾を巻いて逃げ出してしまう場面が出てくる。

とどのつまりは徒党を組んで騒がないと何もできない典型的な烏合の衆。共同幻想だの革命だのに憧れても実際の暴力にはなにも為す術がない連中。人に因縁をつけ、喧嘩を売ってきたくせに「俺に手を出したら暴行で訴えてやるぞ!」と息巻く酔っ払いサラリーマンおやじと同レベル。

そういう奴等が今でも毎週土曜日の夕方になると新宿駅西口の地下に集まって反戦だの反基地だのといったプラカードを持って立っている。口を開けば未だに「べ平連」「フォークゲリラ」なのだから笑いも途中で凍りつく。

本作でも折に触れて新宿騒乱事件の記録映像が挿入される。ちゃんちゃら可笑しい。テロリストまがいの連中がこれだけデカい顔をして社会に居座っている国、というのも珍しいのではないかろうか。

とまぁそのような胡散臭い部分を差し引いても本作が面白いのは、実際の主人公が「新宿の街」であるからに他ならない。スティーブ・キャレラという刑事を主人公にしつつも実際はニューヨークを模した「アイソラ」という街を描いていたエド・マクベインによる警察小説の金字塔「87分署シリーズ」と同様、本作においても90年代の新宿の風景を見事に切り取っている。まぁその手法やカメラワークがあまりに「タクシー・ドライバー」的なのは笑えるが。

それに絡む一癖も二癖もある役者達のキャスティングも絶妙である。拳銃が如何にも玩具なところやヤクザ者の刺青があからさま且つ適当なボディ・ペイントなのは御愛嬌。組長射殺に使われた拳銃が

  「中共の軍用拳銃」なのに7.65mm弾

ってのは変じゃないか?7.65mmならルガーとかブローニング・ハイパワーだよね。人民解放軍の制式拳銃はトカレフの筈。だったら使用する弾は7.62mmでなくてはいけない。マカロフにしたところで口径は9mmだから全く違う。

といういい加減な描写も多々あるのだが、それらすべての「負の要素」を跳ね返して余りあるくらいに、原田芳雄と桃井かおりのカッコ良さは群を抜いている。これぞ大人の男と女の色気なのだろう。最近はこういう野性味と色気を同時に表現できる役者が本当に少なくなった。全てが終わった明け方の新宿コマ劇スクェアで迎えるエンディングは特に印象深い。この部分だけでも見る価値は十分ある・・・と思う。


スポンサーサイト

映画 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

カレー始め / ホーム / 始 動


コメント:


コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する 


トラックバック:

ホーム