I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で


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2011/12/06 / 01:16

先日の旅行中に読もうと思い何冊か買い溜めておきながら、いざ出発してそれらを全部部屋に忘れてきたことに気付いた、という中の1冊、

     死体
釣崎清隆「世界残酷紀行 死体に目が眩んで」

読了。多分、日本でただ一人であろう「職業・死体カメラマン」釣崎さんの紀行文。

自分も、死体の写真を撮ったことは何度もある。ただし自分の場合は「死体を撮影するの『が』仕事」なのではなく「死体を撮影するの『も』仕事のうちの一つ」であるから目的も撮影手法も全く異なる。ただ此処はあくまでも「平和な日本」なので麻薬組織から壮絶な拷問を受けた挙句殺害されたようなホトケといった類にはお目に掛かったことは無いのだが死体に大してある程度以上の「慣れ」はある。そして逆にサブカル的な興味というものは全持ち合わせていない。ただ、日本人とは比べ物にならないくらい敬虔な仏教徒であるタイ人が「死体好き」であるのと同様、自分も「好き」なことは間違いない・・・と思う。そしてその「好き」の根源にあるのは、「どうしたら人の身体がこんなふうになってしまうのだろう」という法医学的な興味である。逆に、ホトケが好きでなければ法医に興味を持ったりはしない。

基本的に自分は、あらゆる表現というのは規制を受けるべきではない、と考えている。嫌ならば、見なければいい。それだけの話である。であるから氏が「死体写真はアートである」という事について否定しようとは全く思わないし、逆に「あ、そういう考え方/表現の仕方もあるのか。面白いな。」と単純に思ってしまうし、自分が撮るのはあくまでも死体や創傷(致命傷、逡巡傷、防御創等)の詳細な状況・・・つまり死に至った原因であるので撮り方はある程度決まっている。そういう目から見ると釣崎さんの写真表現の仕方はとても面白いし、コロンビアの首都・ボゴタの街角に転がっているホトケの周りにそれを全く気に留めていないような子供たちが居る日常の風景、といったドライな描写は此方の心を惹きつける力を持っている。

以前、釣崎さんが撮影した映画「死化粧師オロスコ」公開時、本編の後で行われたトークショーで「死体を撮るとき、どのようなポイントに留意されていますか?」と質問させていただいた時「いえ・・・特にそういうことは考えていません」という回答をされていたのだが直感であの写真が撮れるのであればやはりこれはセンスの良さなのだろうな、と思う。

そんなわけで本書、所謂「死体に過大なロマンwwwや憧れwwwを抱いてるサブカル愛好者」向けの写真本ではなく、「裏」旅行記である。タイやコロンビアといった国々の一般旅行者ならまず立ち入らない領域の描写はとても面白い。文体がドライであるのと同時に、其処此処に豊富な知識がさりげなくちりばめられている。巻末の解説では永井荷風を引き合いに出していたが、自分の頭に真っ先に浮かんだのは、開高健である。氏が逝去されて以降、これまで開高健を髣髴とさせる文章、文体というものに出会ったことが無いので自分自身、驚いたと同時に大きな収穫であったと思う。

あと音楽好きであればコロンビア・デスメタルの大御所MASSACRE、或いはメキシコの伝説的ハードコア・バンドMASSACRE 68 といったネタは非常に美味しい。

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