I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で

2013/10/27 / 08:43

新宿座で開催中の「緊縛の文化史」を見て来た。

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会場内に展示されている写真や資料をみて、改めて縛りや吊りって力学的だなぁ、と思った。見馴れた日本人モデルに対する緊縛ではなくて、白人や黒人モデルを日本の流儀で縛った写真はとても素晴らしかった。ビザール系の雑誌などでもあまり見かけない縛り方も多数あり、「どうやって縛っているのだろう」と考えてしまう。 個人的には黒人女性を緊縛した写真が結構ツボで、黒い肌に食い込む縄、ピアスを入れた黒い乳輪は見ていると興奮する。

また、「文化史」と銘打っているだけあって、ビザール的な側面だけでなく、中世の捕縛術から端を発し、それが歌舞伎や浮世絵などで大衆化されていく過程を示す資料も展示されているのだが、捕縛術の本は1冊、持っていてもいいと思うほど興味深いものだった。

日本では相手の動きを封じる時は、俯せにして背骨の上に膝を乗せ、肩関節を極めるというやり方を教えてる。そういう事が既に捕縛術の本にはイラスト付きで出ているわけで、やはり人体の構造、力学を知った上で生み出されたものなのだということが良く分かる。

やはりこの世の理ってのは数学、物理学、化学などで定められ、動いているのだなぁと感心した次第。

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2013/10/27 / 08:35

先週から12月まで約2か月間、職場の研修に入っている不肖ワタクシ。

クソ忙しい実務から解放され、好きな勉強だけしてりゃいいという夢のような環境・・・なのだろうが最近は情報セキュリティの話がうるさくて、研修所にパソコンが持ち込めない。結果、こっちの更新頻度は更に下がる事となるわけだ。最大の悲しみは、最近の超マイブームであるNHK朝の連ドラ「ごちそうさん」(杏ちゃ~~ん♪)が見られないということだ。

さて昨日、新宿座で開催されている「緊縛の文化史」を見た後、夕食は初台まで歩いてウィグル料理「タリム」へ。時々ライヴを見に行く「初台WALL」の隣である。普通、WALLにライヴを見に行く客で、この店に入るハードコア・パンクスはまずいない・・・・と思う。

かく言う自分もウィグル料理というものを食すのは初めてである。埼玉に左遷されて以降、埼玉大学の横にウィグル/シルクロード方面の料理店がある事は知っていたが、いかんせん、いまは4輪も2輪も持っていないのでは仕方ない。

そんなわけで「タリム」。オーダーしたのは、以下の3品。

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カゥワゥルガ カワプ(ラム骨付串焼き)

日本でも未だに「羊は臭い」などと言う連中がいるが、まったくそんなことは無い。これを食べればそんな偏見も綺麗サッパリ飛ぶだろう。非常に美味。

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ポロ(ウィグル式ピラフ)
ピラフはヨーグルトを掛けて食べる。インドのビリヤニに酷似している。

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タリム・ラグメン(手打ちあんかけ麺)
麺は注文を受けてから打ち始める。腰が強く食べごたえがある。

というわけで、中華ともインド、ネパールとも違う・・・がその全てでもある不思議な味わい。しかし結構、美味しい。ある意味、日本人向けだと思う。また、機会があれば行ってみたい。


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2013/10/20 / 02:34

本人たちも、ファンも、大きな変化など求めていないバンド・・・というものがある。代表的なものを挙げれば RAMONES、BAD RELIGION、DESCENDENTS / ALL 等々。逆に急な変わり方をされたら戸惑ってしまう。

以下に挙げるバンドも、間違いなくその手である。

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AUTOPSY "Headless Ritual"

待望の新譜。全然変わらない「アノ」音。前作 "Macabre Eternal" よりも曲は良い。

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MASTER "Witchhunt"
80年代からずーーーーっと変わらないデスラッシュをやり続けるポール・スペックマン率いるMASTERの新譜。1曲目のアタマだけブラスト・ビートを入れているが後はいつもと変わらない2バス連打の「アノ」音。ただし曲の出来は前作 "The New Elite" の方が良い。

ついでにこっちも。

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THE SPECKMANN PROJECT
90年頃に録音されたMASTER用のマテリアルが契約上の絡みから別名義でリリースされたというブツ。つまりMASTERの1stと言われる音源はこれを含めて3種類あるわけだが、やはり問答無用で85年録音のアルバムが良い。次が"Master" 一番つまらないのがコレ(笑)

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ASTA KASK "Hand On Heart"

スウェーデン・ハードコア ASTA KASK 目下の最新盤。もうこの調子でBAD RELIGION化しても全く問題ない。ポップでフックある楽曲は何時聞いても気持ちがいい。




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2013/10/17 / 01:47

先週日曜日、大久保EARTDOMで行われた UNITED THRASH NIGHT Vol.90 に行ってきた。

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この日は CRUCIAL SECTION と SLIGHT SLAPPERS の2マンに加えて現在ツアー中のダッチ・ハードコア CITIZENS PATROL がゲスト参戦。今回はUxTxN 開催90回記念という事で入り口でHiroさんからメッシュ・キャップをプレゼントされる。

開始は予定よりも押して19時過ぎ。1番手、CITIZENS PATROL。編集盤ディスコグラフィCDも最新EPも持っており、ライヴ見るのを楽しみにしていた。オランダというとすぐに浮かぶのがLARM、 SEEIN RED、PANDEMONIUM、MAN LIFTING BANNER等の激速スラッシュ・コア、思想左寄りというイメージなのだがC.P.はむしろUSハードコア影響下のスピード感がとてもカッコいい。ハッキリ言って特に際立つ個性があるわけではないのだが、今の時代だからこそ、このようなオールドスクールなハードコアバンドが現役で活動しているのは嬉しい。因みにバンド名の由来は政治的な意味ではなく「ポリスアカデミー;市民パトロール」である。

2番手、SLIGHT SLAPPERS。最近の音源を聴いたりライヴを見たりすると以前のパワー・ヴァイオレンス一直線な曲とは趣を異にしてよりノイジーでカオス、しかしR&R風のポップ感も盛り込むというカオスな音に深化してきたスラスラだが、この日はロングセットという事もあってか初期の曲もかなりやっており、1曲1分未満連発でとても面白かった。

3番手、CRUCIAL SECTION。新作EP1曲目、既にライヴでは御馴染みの "One Step Closer" でスタート。50分のロングセットなので新旧取り混ぜて久しぶりに "Against The Wind" からの曲も披露。ラストは"Let's Rise Your Hands" から"Warning" 、アンコールは"Faster, Louder!" の再演。ユーロ・ツアーの勢いそのままに(ってヨーロッパでは見ていないけど)いつも以上に気合の入ったライヴだった。しかし毎度思うのだけど、曲のキメにおけるジャンプがビシッと揃うのは本当にカッコいい。



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UxTxNも90回を数え、これから100回、120回・・・と続くことを楽しみにしております。

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2013/10/14 / 01:50

土曜日、新宿で映画「R100」を見て来た。

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因みに自分はダウンタウンとか吉本とか全く興味が無いし、面白いと思った事も無いので純粋に映画のみの感想を書く。

ハッキリ言って、全然面白くない。ウェブでも「ネタバレ」と称して書き込みはあるが、読んでみても「で?」。マイルス風に言えば "So what?" という程度でしかない。特段、SMを掘り下げて何かが表現したいわけでもなさそうだし、監督自身がSMに対して大した興味も知識も経験も無いのだろう。あくまでも「上澄み」レベルの話。

エンドロールを見ると、クラブやビザール・ラウンジ・スタッフ方々の名前がクレジットされているのに、それが生かされていない。そりゃサトエリや冨永愛にボンデージ着させりゃ素人が考えたって「カッコいい」と思うだろうよ。辛うじて最後まで見られたのは、そういう女優さんが持っている「華」の部分があったからに他ならない。

女優陣の中で特に良かったのが大地真央。流石というか舞台中心に活動されてる方である。発声の仕方が、プレイの前にシャワーを浴びてルームに戻るとそれまで普通に話していたのとは全く別人の如くスイッチが入っているミストレスの「あの感じ」がよく出ている。

あと意外な拾い物(失礼!)だったのが寺島しのぶ。自分の好みのタイプでは全くないのだが、男子便所の大便用ボックスから突然現れて嬉々として鞭をふるう姿を見て「これなら金払ってもいいかな・・・」と少しだけ考えてしまった。冒頭の冨永愛も凄まじいインパクトだけど、個人的な好みでいればあれを竹内結子か杏にやって貰えれば物凄く興奮したはずだ。

そんなわけで中盤以降はかなり退屈。危うく眠りそうになった。唯一パッチリ目が覚めたのはカーチェイスの場面で流れる曲が、ダウンタウン・ブギウギ・バンドの「サクセス」だった事。まぁカーチェイスとはいえかなり緩い出来で「もっとアメリカ映画見た方が良いんじゃない?」という感じで追われる緊張感も危機感もスピード感も皆無だが。



そんなこんなで映画よりも、その後で食べたトルコ料理の方が印象残った土曜の夜。

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2013/10/12 / 12:29

もう先週の話になるが、映画「地獄でなぜ悪い」を見に行ってきた。

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話の筋は、書くのが面倒臭いので何とかペディアから転載。

極道・武藤組の組長・武藤大三(國村隼)は、服役中の妻・しずえ(友近)の夢でもあった、娘のミツコ(二階堂ふみ)を主演にした映画製作を決意する。映画の神様を信じるうだつのあがらない映画青年・平田純(長谷川博己)と、通りすがりの普通の青年・橋本公次(星野源)を監督に、スタッフやキャストは全員自分の子分のヤクザで構成した。さらに、武藤組と対立する池上組の組長で、ミツコに恋心を抱く池上純(堤真一)と池上組全体を巻き込んで、事態はとんでもない方向に進んでいくのであった。

クソみたいにバカバカしい話である。ハッキリ言って中盤、組長が「映画班を作る」と言いだすまではかなり冗長で退屈。「東京ファックボンバーズ」の前日談みたいな話とか余計なものをカットすればあと20分くらいは短縮できてよりキレのある作品に仕上がったと思う。自分は、新宿バルトで見たのだが、中座する人が何人かいたのは事実。

しかしそれを補って余りある役者さんたちの演技は最高だった。そんな芸達者な人達の中でひときわ目を引いたのは、堤真一。組長の娘ミツコへの偏執的な憧れが凄まじい顔芸となって表現されるシーンでは館内のあちこちから笑いが出ていた。自分も、こんなコミカルな演技もできるんだ・・・と驚いた。役どころとしては対立する組の組長なのだが位置付けとしては、千葉真一「直撃地獄拳」シリーズに出て来る郷鍈治を思い出してしまった。抗争の最後はヤクザ警察入り乱れてのスプラッター大虐殺。まさに力で押し切った感ある結末。誰が生き残るのか・・・は見てのお楽しみ。

あと「ファックボンバーズ」のメンバーである「平成のブルース・リーこと中村」を演じているのが実写版「魁!!男塾」で監督・主演を務めた坂口拓だったというのも嬉しい驚き。

そんなわけで本作、思いの外楽しめた。問題なのは見てから1週間経過しても♪全力歯ぎしりレッツゴー!ギリギリ歯ぎしりレッツフライー♪という劇中で繰り返されるCMソングが耳にこびりついて離れない事だ。

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2013/10/09 / 23:44

縁は異なもの・・・である。

何処でどう繋がって自分の「好き」「カッコいい!」を見つけるかは謎に満ちている。
キノコホテルを知った切っ掛けもそう。たまたま見たレコード屋の邦楽新譜予約コーナーにアップされていた「クラダシ・キノコ」のジャケ。なんだ、この石森章太郎みたいな絵は・・・と思い動画サイトを見た・・・なかなかいいじゃないか・・・とHPを見ると今夜、下北沢でライヴがあるという。行ってみよう。「あ゛~~~っ!」と一気にハマった。

そんなわけでまたまたわらしべ長者的お話を。

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先月、ハヤカワ文庫から発売された「事件記者コルチャック」の原作。「コルチャック先生」の続編ではない。これはロスを舞台に吸血鬼などの物の怪を追う事件記者の話で、TVシリーズでもカルト的人気を博していた。懐かしいね・・・とまた動画サイトでOPを見ていた。

ふと右カラムの関連動画に目をやると"Ironside" の動画。此方も懐かしい。大学生の頃、深夜のテレ東で放送されていたシリーズにドハマりした「鬼警部アイアンサイド」である。晩年のペリー・メイスンと並ぶレイモンド・バーの当たり役で、ノベライゼーションはジム・トンプスンである。

というわけで今度は「鬼警部アイアンサイド」の動画を見ていたところ見つけてしまった日本語版主題歌。こんなの聞いた事なかったぞ!と再生して飛び出してくる素晴らしい過ぎる歌声・・・歌ってるの安田南って人なんだ・・・・

それで今度は安田南関連の動画を物色して回る。凄いな。70年代の人らしいけどCD手に入るのかな・・・・其処で見つけたこの2枚。

やさぐれ
「やけっぱちロック~やさぐれ歌謡最前線」V.A.

South ミナミ
「South」安田南

前者、「池怜子、杉本美樹から安西マリアまで女性カルト歌謡の決定版」である。この中にシングル「鬼警部アイアンサイド/愛情砂漠」が収録されている。アイアンサイド1曲を聞くだけでも十分価値のあるオムニバス盤だが、中村晃子"裸足のブルース"も素晴らしかった。あとはまぁ、それなり。



後者、ジャズのライヴ盤。日本語で歌うのとは全く違う雰囲気になるのが凄い。自分はジャズについては門外漢なので大きなことは言えないが、声の力と各楽器の演奏の旨味が相俟って、臨場感あふれる堪らなくカッコいいライヴ盤になっている。



因みに安田南さん、既にお亡くなりになっているという事。感動とショックは一瞬でやってくる。

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2013/10/07 / 01:35

10月も既に第1週が終わってしまった。

最近は、音楽ネタよりも食い物のネタの方が多いのだが、取り敢えず写真貼り付けてそれらしいことを1文か2文書き添えておく食い物日記の方が楽が楽だという「手抜き」である。

東武東上線(だっけ?)東武練馬駅前「カトマンズ・ダイニング」。以前は「ラスナ」という屋号のネパール料理店だったが経営者が変わり、新しい研究者も以前と同じ位置にネパール料理店始めた・・・という事らしい。そのため、スタッフの顔ぶれもメニューもすべて一新。大好きだったダールとバトゥーラのセットが無くなってしまい残念至極。

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マトン・シェクワ、アルコアチャル、ヴェジタブル・バジーの前菜盛り合わせ。カレーはベイガン・キーマ(茄子と挽肉)カレーの味が若干薄いように感じ等るのは気のせいか・・・・

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映画「地獄でなにが悪い」の前に新宿「ボスポラス・ハサン」にて昼食。イスケンデル・ケバブ。昨夜から無性にトルコ料理が食べたくて入店。考えて見ると大久保「ヒサル」以外の店でトルコ料理を食べるのは久しぶりだ。個人的好みで言えば、ピタパンよりもバターライスで食べたいのだが、この他にスープ、サラダ、デザート、チャイがついて980円はかなりお得。

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毎度御馴染みの「デリー」銀座店で夕食。マサラ・カバーブ(子羊のマサラ・ソース・ロースト)、サンバル、サフラン・ライスに今月のマンスリーカレー(マトン・ロガンジョシュ)。羊肉料理が2品。前者、ワイルドなムスリム風、後者さっぱりとしたカシミール風。どちらも肉の柔らかさと旨味が染み出してくる料理で美味礼賛。

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2013/10/01 / 01:02

10月。

暦の上では、紛れもなく秋である。先週末は、今季初めて袖無しの革ジャンを着て外出した。あと3か月で今年も終わりになる。早いものだ。

日曜日、有楽町で映画「凶悪」を見て来た。「新潮45」に掲載された実話をもとにした作品であるが、自分は原作を読んでいない。よってどの部分が脚色なのかは分からないので映画のみの感想を書く。

      凶悪

本作は、3人の人物を核として展開する。殺人の実行犯たるヤクザ者(ピエール瀧)、ヤクザ者に犯罪の指示を出す「先生」(リリー・フランキー)、死刑判決を受けたヤクザ者の供述に基づき事件の全容解明と「先生」への刑法的・社会的制裁を目指す雑誌記者(山田孝之)である。

この中でヤクザ者と先生のぶっ壊れ方が、素晴らしい。簡単に「じゃぁ、酒飲ませて殺しちゃおう」「僕のところにまだ転がしてない土地があるから、そこへ埋めちゃおう」「次はお前をぶっこんで(殺して)やる」と言ってそれを実行に移してしまう。実際に自分の手で殺人を犯した時はビビッていた先生も、暴力装置たるヤクザ者と絡むことで次第に常軌を逸して行き、「僕が(死体に)火をつけるから!」「僕にも(拷問を)やらせて!やらせて!」と子供のようにはしゃぎつつ凶行に手を染める。事故に見せかけて殺したホトケを遺棄する際も「それじゃ角度が不自然だよ」等、実行犯たるヤクザ者を使ってホトケのポーズ決めをしている場面等、ついつい笑ってしまう。

狂気が行きつく先には、時として笑いがある。これは実際の事件だがあまりに堂々と向こう側へ突き抜けている事への「後ろめたい爽快感」があることを否定できる人がどれほどいるだろう。

この暴力装置たるヤクザ者、尼崎の角田事件で最初に犠牲者宅へ乗り込んでいく在日朝鮮人の男を髣髴とさせるし、当初はビビッていた先生が次第に常軌を逸してくる過程は、最初は気弱だった宮崎学が次第に狂気に囚われて堂々と凶行を重ねて行く姿(調書には「切断した少女の頭部を綺麗にしようと自宅へ持ち帰り、ガレージにある流しで洗ったら既に腐敗が進んでいて髪の毛が抜け落ちてしまった」「自分はもう何をやっても捕まらない超人なのではないだろうか」という箇所がある)と重なる。

そして彼等を追う雑誌記者もまた、尋常ではない。家庭においては認知症の母親を介護する妻(池脇千鶴)を顧みず(終盤、妻が母親を殴っていた、と話す場面が出て来る)、ジャーナリストとして社会正義を実現したい心が次第に「犯罪者に死刑という制裁を加えたい」と渇望する暗黒面に囚われて、幽鬼のような表情に変わっていく様子を見事に山田孝之が演じている。

そして終盤、当初は「全てを話して綺麗な体になって死んでいきたいです」と語っていたヤクザ者が拘置所内でキリスト教の牧師と出会い、クリスチャンとなる事で「神が言うんですよ。『生きて罪を償いなさい』」と言いだして「生」への執着を見せ、先生から「俺達の死を望んでいるのは被害者でも遺族でもない。アンタだ」と指差される場面。本当に「狂っている」「凶悪」なのは一体誰なのだろう、と考える。

大切なのは、この3者の態様はだれの身にも起こり得る、という事だ。人間というのは黒と白の境目にあるグレーゾーンで足掻き続けるものだと自分は常に考えている。ただ、その境界線・・・それを規定しているのが法であり、モラルである・・・を逸脱してしまう、或いはそれが自分の規範と合致しなければ簡単にラインを超えてしまうのか・・・これが「犯罪」であり刑法における「構成要件該当性」である。人は、何処でラインを超えるのだろう。自分の中に持っていた犯罪的因子が何かの切っ掛けで花開くのか、それとも暴力装置、或いは絶対悪のような存在に感化されて「スイッチが入る」のか、はたまた自分の「正義のためならどんな犠牲も厭わない」という信念が何処で「自分が『正義』と信ずるものを実現するためなら何をしても構わない」という狂気に変わるか・・・は誰にもわからない。

分からないからこそ・・・怖いのか・・・はたまた面白いのか。それが分かったら、世の中はこんなに面倒臭くなっちゃいない。

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