I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で

2012/12/31 / 23:52

大晦日。

2012年の日記を読み返しつつ、「もう一年経ってしまったのか・・・」と思う。

年を経る毎に、時の刻みが早くなっているように思えてならない。人生最大の汚点であり屈辱だった埼玉への都落ちも2年目になった。ミルトン「失楽園」ではないが一敗地にまみれ、地獄から天を見上げる堕天使ルシフェルのように、民度最低最悪の埼玉で日々を過ごしているわけであるが、来年こそは都内、若しくは神奈川に引っ越したいものだと願う。

そんなわけでこの一年間、住環境は肥溜めのように最悪だったが仕事面ではこれまで以上に良い結果を出すことが出来、自分の中でまた新たな「手ごたえ」を感じ取れるようになったのは大変嬉しい。プライヴェートに関しても所謂「リア充」状態継続中。遠距離故の散財も多いが得ているものはそれを凌駕している。加えて昨年以上に画廊やギャラリーを見て歩き、イヴェントに参加し、ライヴに参戦し、沢山の音源を聞き、本を読み、そして美味い飯を食べた。これ以上望んでは罰が当たるというものだろう。

来年はこれらを踏まえたうえで、より良い結果を出すべく精進・・・はしないが8本脚の馬に跨り天空を駆けるオーディンのように疾駆していきたいと思う所存。

今年一年、お世話になった方々、お付き合い頂いた方々、そして新たに御縁を持つ事が出来た方々、本当にありがとうございます。来年も皆様の上に幸せが降りそそぎますようお祈り申し上げております。

というわけで今年の〆は

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      BATHORY "Blood, Fire And Death"

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2012/12/31 / 02:34

28日から30日まで此処数年来同様、都内神保町のホテルに投宿してひねもすのたりのたりとした年末を過ごしていた。

28日夜は、銀座のバー「ヴァニラ・マニア」で開催中の

宮西計三個展「ペンと鉛筆と毒-Pen, Pencil, and Poison-」

を見に行っていた。

宮西先生はパンク/ハードコアが好きな人であれば THE STALIN "Trash" "スターリニズム" といった作品のジャケット・イラストを手掛けた方、と言えば分かるだろう。

  Stalin trash

宮西先生の原画を見るのは今年6月に系列の「ヴァニラ画廊」にて開催された個展「ペニス主義」以来だが、鉛筆の線によって描き出された繊細な造形は昼間の画廊で見るのとはまた一味違った感覚を抱かせる。個人的にはピカソ頭部の鉛筆画がとても気に入っている。

丁度、在廊(在バー)していらした宮西先生ともお話することが出来、加えて他のお客さんやスタッフの方とのディープな音楽やフェティシズム等々に纏わる話も非常に楽しく、あっという間に閉店時間になってしまった。前回、赤絵かふおさんの個展開催時と同様、酒を飲まない自分が銀座のバーで看板まで居座っているという「現象」は我ながら面白いものだな、と思う。

この日は銀座を出てから神保町に戻って遅すぎる夕食を取っていたのだが、宿の近くに深夜3時まで営業しているナイスな居酒屋がある事は全く知らなかった。

30日は古書店巡りをしようかと画策していたのだが、この時期、殆どの書店が既に年末年始休暇に入っている事を失念していた。その代わりと言ってはアレだが、遅い昼飯を三省堂地階のビアホール「放心亭」で取る。考えてみると自分は中学生の頃からこの界隈でぶらぶらと遊んでいたわけだが、三省堂の地下にドイツ料理のレストランがある事は昔から知っていたが、入ったのは今回が初めてだった。

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注文は牛タンのシチュー、カキフライ盛り合わせ、激辛ソーセージ、ジャーマン・ポテト・オムレツ。牛タンのシチュー、とろとろに煮込まれた肉が柔らかく大変美味である。これだけでこの日の幸せの半分くらいは占めている。

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因みに当店は「ビアレストラン」である。当然「売り」はドイツ・ビールである。自分がビーフシチューを食している向かいで相方はカキフライを口に運びつつ、ゲーテが愛飲したと言われるドイツ黒ビール「ケストリッツァー・シュヴァルツ」を美味そうに飲んでいるわけだが、このような場所やアイリッシュ・パブへ足を運ぶ度、酒が飲めない自分は人生の何割かを確実に損しているのではないか、という思いに捕らわれる。まぁ酒が飲めない故に職場のクソみたいな宴席に出なくていいという利点もあるにはあるのだが。

そんなわけで、今年もあっという間に大晦日になってしまった。

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2012/12/28 / 01:31

別段俺は、NIGHT RANGER のファンというわけではない。念のため。

埼玉なんぞに屈辱の都落ちさせられて以来、週末休んでいてもストレスが溜まって仕方ない。

今までこのようにモラル/民度の低い土地に住んだことが一度も無いので毎日が驚きと怒りの連続である。当然、精神的な疲れも溜まる。

昨日から休暇に入ったので、都内某所のホテルに泊まっていた。兎に角、一人きりになりたかった。部屋でピーター・トレメイン「修道女フィデルマの叡智」を読んでいたら明け方になってしまったので気分転換がてら散歩に行く。

海から吹いてくる夜明けの風は冷たく、次第に皮膚が強張ってくるのがわかる。しかしこのだだっ広い空間を闊歩しているのが自分しかいないという何とも言えぬ気持ちいい感覚。明るくなってくる空際線、明滅するビル群の灯火。朝と夜が交錯する一瞬の狭間。

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人が全く写っていない風景が好きなんだ。

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2012/12/25 / 02:30

クリスマスなので、こころが温かくなるような本を御裾分け。
 
   ゆめの
    夢野久作「猟奇歌」

本棚に並べておくための、或いは人と話していて「読んだ」と言っておけば取り敢えず「バカじゃないな、と思ってもらえそうな本」という困ったブツが世の中にはある。

ニーチェ「ツァラトゥストラ」であったり、ミルトン「失楽園」であったり或いはフロイト「精神分析入門」であったりするわけだが、ミステリのジャンルにおいてその頂点に君臨し続けるのは間違いなく「ドグラ・マグラ」であろう。

バカの一つ覚えのように小栗虫太郎の国士舘・・・もとい「黒死館殺人事件」と並ぶ奇書であり「一旦ページを開いたら最後、精神の迷宮がどーのこーの」と言われるアレだ。しかし、そう言う人間のうちどのくらいの割合が「精神の迷宮」とやらを理解しているのだろうか、と思う。「気持ちが落ち込んでいる時にBURZUM "Filosofem" を聴くと死にたくなる」というのと同様、本当にくだらない。「人がそう言ってるから」それが意識下に刷り込まれていたに過ぎず、結局のところ誰かの受け売り以外の何者でもない。

勿論、自分だって「ドグラ・マグラ」くらいは読んでいる。しかし別段、心を動かされたわけでも迷宮とやらに捉われたわけでもなんでもない。「あー、キチガイが書いたキチガイの話だな」程度にしか思わなかった。

まぁ学生時代から

「でもさ、それって要するに『ニーチェ読んでる俺ってアタマ良いだろ?』ってチンケな自己主張なんだろ?(笑)」

と知人に言って思いっきり嫌な顔をされるような性格の悪い人間なので基本的に世間様の評価なんてものはどうでもいい。自分が面白いか、面白くないか、というだけの話。

そんなわけで、長々とした前口上を終えて漸く本題。

本書、夢野久作が詠んだ短歌を赤澤ムックさんという方が選別、編集したものである。

昔、これと同じような本を読んだことがある。ex. BLACK FLAG のVo.である Henry Rollins の著書 "1000 Ways To Die" である。極限まで削ぎ落としたシンプルな言葉で綴られる死の物語。鍛え上げられた肉体と圧倒的なパワーとパフォーマンスで知られるロリンズがその獣のような見てくれとは裏腹に内側に捻じれた歌詞を書いているのは周知の事実であるが、改めてその根源が紙媒体に印刷されると全く異なる感覚で自分に迫ってくることに気付く。

本書に掬い上げられた「歌」の数々。猟奇、厭世、絶望、虚無、怨嗟、加虐嗜虐衝動・・・どれも暗く、そしてネガティヴな要素である・・・が、これらはロリンズの著書や歌詞同様、ふとした時に、自分の心に浮かんで消える「一瞬の魔」を切り取ったものだ、と気付く。

ブコウスキーの作品を読んで「でも、そんな風に考えてるのはお前だけじゃないよ、ブコウスキー」と変なシンパシーを感じるのとは真逆の感情。

「誰か一人 殺してみたいと思ふ時 君ひとりかい・・・ と友達がくる」
「何遍も自殺し損ねて生きている 助けた奴が 皆笑ってゐる」
「タッタ一つ 罪悪を知らぬ瞳があった 残虐不倫な狂女の瞳だった」


等々。

時に自虐的、時に虚無的でありながらギラリとした魔と知性が宿る言葉の数々。何処となくPOISON IDEA の歌詞、例えば

「死の夢を見ると必ずお前が出て来る」
「俺の敵が眼前を歩いている 味方は俺の背後を歩いている 死は俺の横を歩いている」


といった感覚に近しいのではないか、とも考える。

何れにせよ、まだまだ暗くて寒い冬の夜、自分の心に宿る「魔」と対峙してみるのも乙なものかもしれない。その鏡には本書をどうぞ。

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2012/12/24 / 01:01

ギャラリー新宿座で12月22日(土)~1月27日(日)まで開催の

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   都築響一Presents 「新宿秘宝館」

に行ってきた。

近年では珍しく撮影自由。解説によれば、展示されている作品群はかつて三重県鳥羽にあった「元祖国際秘宝館・SF未来館」のものだったらしい。

因みにこれら作品にはコンセプトがあって

「ノストラダムスの予言が現実化し、滅亡寸前の人類の前に地球を離れていた宇宙戦艦が帰還する。司令官は絶体絶命の状況を打破するため生き残った人間を狩り集め、優秀な男から強制抽出した精子を選ばれし美女に注入、妊娠させ3か月で成人する特殊な装置で超人類として再生させる」

というもの。

PARLIAMENT "The Clones of Dr. Funkenstein" のジャケット写真のようなチープでいかがわしい前時代的コンピューターだの身体に取り付けられた管だのという「装置」が何ともいい味を出している。脳味噌を摘出されている人形もあって、バローズ「火星の交換頭脳」かよ!という突っ込みの一つも入れたくなってくる。昨今の精緻極まる「ラヴドール」以前、まさに「ダッチワイフ」というべき人形たちの顔・形も実にいかがわしい。

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三重県の鳥羽のような田舎で、一体誰がこんなものを好き好んで見に行くのか、そもそも何故、こんなもの(褒め言葉)を作って展示しようと思ったのだろうか・・・等々疑問のタネは尽きない。

面白いのは熱海の秘宝館だのかつて浅草「花やしき」にあった見世物小屋のような展示とは異なり、同じフリーキーなキワモノであっても此方は純然たるSFとしての骨格を持っている事である。企画した人がSF好きだったのか、はたまた「猿の惑星」に感化されたのかは分からないが、いずれにしても魔都・新宿らしい展示でとても楽しめた。

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加えて、2階に展示してある撮影禁止の作品群・・・今年の1月、銀座「ヴァニラ画廊」にて行われた同じく「艶春特別開帳・都築響一コレクション 秘蝋の宴 満珍全席」に展示されていた作品の一部である。年の初めに銀座で見た満珍全席と年末の新宿で再会するというのも乙なものだ。

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2012/12/23 / 02:23

毎年恒例(?)今年の十二神将。

DENIAL FIEND "Horror Holocaust"
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MINKIONS "Distorted Pictures From Distorted Reality"
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SPY MASTER "Eyes"
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CRUCIAL SECTION "Standing On The Front Line"
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THE ALLIGATORS "Time's Up, You're Dead"
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以下、順不同

・CITIZENS ARREST "Soaked In Others Blood"
・TERRORIZER "Hordes Of Zombies"
・PUNK NINJA BRIGADE "Ninja Kills"
・キノコホテル "マリアンヌの誘惑"
・VITAMIN X "About To Cruck"
・DEAD CAN DANCE "Anastas"
・MISERY "From Where Sun Never Shines"


この他に再発物では DICKS の1st& 2ndがとても嬉しかった。SS DECONTROL "The Kids Will Have..." も正規再発に向けた動きがあるようで、此方も期待大。あとは N.O.T.A.の1stをCD化して貰いたいなぁ・・・というところ。

1位と2位を見て改めて、「やっぱ俺、THE ACCUSED 大好きなんだな」と思う。
DENIAL FOEND はex.DEATH, MASSACRE, BONE GNAWER の Kam Lee がVo.を務めた1st "Rise" も良いが、ex.THE ACCUSED の Blanie にVo.が代わっての此方の方が圧倒的に好みである。

あと、以前にも書いた通り今年は「スラッシュ回帰」の一年だったように思う。その切っ掛けになったのが CRUCIAL SECTION や SPY MASTER を始めとした「速い」ハードコア・バンドのライヴを見たことであり、やはり実際にライヴを見ることの大切さを改めて痛感した次第。

さて、来年はどんな音源、ライヴに出会えるのだろうね。

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2012/12/17 / 02:28

週末の釣果など。

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DISKRIMINADOS "Vida Imigradte"CD

在日ブラジル人3名+ ジャバラのジャムさんによるハードコア・バンドの12曲収録の1st。CDのパッケージが LOS CRUDOS のEPのよう手作り!これだけでも買い手は嬉しい。加えてその音!自分達が「南米ハードコア」という言葉から連想する初期R.D.P. や OLHO SECO を髣髴とさせるアノ音、DISORDER "Under The Scalpel Blade" みたいなギター、バタバタと叩きまくるドラム、そしてポルトガル語Vo. がアツい、熱すぎる。昔「ロックを歌うにはやはり英語でないと」等と言っていた音楽ライターなんてのが居たわけだが、何語で歌っても、そして歌詞が分からなくても歌に乗せられてる情熱、気合が感じられないなら音楽で商売するの止めちまえ、と思う。



2枚目。

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REPROACH "The Bitter End"CD

活動歴10年を超えるベルギーのスラッシュ・コア・バンドの単独アルバムとしては・・・2枚目か。日本のCREW FOR LIFE REC. からのリリース。買ったのはかなり前なのだが先日の CRUCIAL SECTION との日本ツアー、東京の日程が悉く仕事で潰れてしまい見に行けず仕舞い。悔し涙を飲んだのでまた音源を引っ張り出しては聴いている。
VITAMIN X、CIIZEN PATROL、NIGHT FEVER 等と並んで80年代ユーロ・スラッシュの伝統を現代に伝えるバンドとしてはかなりお気に入り。個人的にはこのようなメタル&クラスト成分極めて薄目な所謂「スラッシュ」が昔から大好きなので、これからもこの調子で末永く活動してもらいたいなぁ・・・と思う。

どんな音楽が流行り、廃れようとも「速さ」というのはハードコアの御家芸であり伝統である筈だから。





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2012/12/17 / 01:31

衆議院選挙投票日だが投票に行くのは夕刻以降なので昼間は部屋の窓を全開にし、この時期にしては暖かな陽射しを部屋に入れ、ベッドに寝転がってヴィタミン・ウォーターの「ダウンロード」を啜りつつ本を読んでいる。

そんなわけで、最近ちびちびと読み進めていた

   東京おぼえ帳
     平山蘆江「東京おぼえ帳」

読了。

話の粗筋は・・・

梨園の花―菊五郎、団十郎、羽左衛門、花柳界の名妓―ぽんた、照葉、万龍に清香。抱月、須磨子に伊藤博文、頭山満…、世間をにぎわした個性ゆたかな人々が織りなす色と欲、そして人情の明治風俗彩色絵巻

・・・というもの。

明治~大正~昭和の東京「都新聞」に掲載された今で言うところの「芸能欄」である。面白いのは池波正太郎を始めとした東京出身者によるノスタルジックな「あの頃は・・・」的郷愁を誘う類のものではなく、飽くまでも当時のリアルタイム芸能情報であることだ。

ハッキリ言って自分は歌舞伎というものに全く興味が無いし、高校生の頃1度だけ学校で教育の一環として国立劇場へ連れて行かれ当時の海老蔵、現・団十郎が演ずる「歌舞伎十八番・毛抜き」を最前列・花道の真横というポジションで観劇させられたのだが何を言っているか全くわからなかったし、面白さの一端も理解できず、それが未だに継続している有様である。

ただし、「業界事情」として面白いのが役者にしろ政財界の著名人にしろ当時の「セレブ」には必ずと言っていいほど贔屓の芸者が居り業界内の下半身事情は業界内で処理していたという図式である。今でこそ「セレブ」等と持て囃されてはいるが芸能人にしろ役者にしろ所詮は「河原」であることを一端の大人であれば皆、理解している。

それは中世以降における日本社会の階級に端を発するものであるが、当時は「素人には手を出さない」のが暗黙の了解になっていたのだろう。例えばそれはヤクザ者・・・暴力団員でなく飽くまでも侠客・博徒と言われる人達が素人には手を出さない事を不問律にしていた事と同じなのだと思う。

自分の祖父は今は有明にある癌研究所の初代薬局長で戦後は築地で薬屋をやっていたのだが近所に全身刺青の侠客が住んでおり、時々薬を買いに来たそうだが「まぁたまにはお茶でも」と勧めても

「堅気の方とはお座敷が違いますから」

と頑なに敷居を跨がなかったそうだ。そういう昔の話を思い出しつつ本書を紐解いてみるとまた、数多出版されている「昔の東京」紹介本とは違った東京が見えてくると思う。

個人的に一番面白かったのが「日本の女優第1号」と呼ばれる川上貞奴と「オッペケペー節」で一世を風靡した川上音二郎の夫婦が金銭的に困窮し心中を図る件。

「最後だから兎に角、ヤリまくって死のう」

とボートを準備して東京湾から漕ぎ出し日夜ヤリまくった挙句、悪天候のために船が横須賀の灯台下にぶつかって座礁しているところを見つけられて助かってしまう、という話。100年前だろうと現代だろうと、男女が居る限りその営みは変わらない。追い詰められればられるほど情欲は募るものですね、という現代でも通じる逸話が乙。

因みに以前にも書いたと思うが、自分の曾祖母は新橋で三味線の師匠をしており「新橋3人衆」と呼ばれたほどの腕だったらしい。それがかつて○○知事を輩出した某家某氏の「御手付き」になり誕生したのが自分の家系である。要するに妾腹筋なのだが今更ながらに祖母や母がそのような花柳界に対して好意を抱いていなかったことが良く分かる。もし曾祖母とあの世で再会したら、是非、この本の事を尋ねてみようと思う。実際に書かれている場面を目撃している可能性、大だであるからだ。

それらゴシップ記事加えて当時の東京における風俗や食といった記事も掲載。「江戸っ子流蕎麦の手繰り方」だの「握りずしの薀蓄」といった話題も楽しい。大正時代、浅草十二階の周辺には吉原とは別に私娼街が広がり、震災で十二階が倒壊し、浅草が壊滅的打撃を受けて以降、私娼街が玉乃井に移った、という件とか「へぇ~!荷風『墨東奇譚』の玉乃井って元は浅草が始まりなのか・・・」な話題も多い。

難しい事は考えず、さらりと読める近代ノスタルジアである。

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2012/12/16 / 02:22

先日、銀座を歩いていてふと、思ったことがある。そういえば街から「電柱」が消えたのって何時頃の事だろう、と。確かにまだ住宅街などに行けば電柱は存在している。狭い通りなど電柱が邪魔になり歩くにも車で通過するにも危険を感じる場所は多い。しかし、新宿や銀座といった大都市では何時の間にか見ることが出来なくなってしまった。

電柱と共に消えた物・・・今となっては懐かしくもある色とりどりの、そしてどぎつい煽り文句が躍る看板である。昭和の頃、街のあちこちの電柱にはプロレスやストリップ劇場の興業を告知する、或いは裸女の肢体をデカデカと印刷したエロ映画の宣伝が立て掛けられ、或いは結び付けられていた。興業が終わるとすぐに撤去され、また次の興業の際には新しい看板が取り付けられている。何時、誰が設置と撤去をやっているのかは分からないが、小学生の頃は登下校の際、これらのド派手な看板にワクワクドキドキしつつチラ見で前を通ったものだ。

銀座「ヴァニラ画廊」で本日まで開催されていた

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「森田一朗すてかんコレクション『昭和路上のエレジー』」

に行ってきた。

「すてかん」とは「捨て看板」。前出のプロレスやストリップ劇場等の興業を知らせるポスターを貼り付けた看板である。今となっては貴重なコレクションが銀座で見られるというのも乙なモノである。一歩会場に足を踏み入れ、廊内四周に貼られたポスターの迫力に圧倒。気分は一気に昭和へワープ。

圧巻なのは何と言ってもプロレスの広告である。猪木も鶴田も馬場も木村もまだまだ若い。タイガー・ジェット・シンやブッチャー、デストロイヤーにボボ・ブラジルの迫力あるポーズに感動。もう完全に見せ方が東映のアクション/ヴァイオレンス映画のポスターと同じである。

それに輪をかけて最高なのが、女子プロレスのポスター下に掲載されている「コビトプロレス」の興業告知である。小学生の頃、初めて見た時の衝撃と笑激。カルチャー・ショックに近いものがあった。今更ながらによく見ると、皆、小さいのによく鍛え上がられた身体をしている。モヒカンがキマっているミスター・ポーン、カッコいい!久し振りに 猛毒 (というバンドがある)の「小人プロレス物語」が聴きたくなった。

会場内にはこれら「すてかん」に加え、ピンクチラシの数々も展示。これも携帯電話が普及し街から公衆電話ボックスが消えるに従い消滅してしまった「文化」だが。要するに(非合法)風俗店のビラである。

昔、公衆電話のガラス壁にペタペタ貼ってあった名刺サイズのチラシを覚えている人も多いだろう。新宿辺りだと量も多いので単語カードのようなリングに綴じられて一冊になっていたものだ。有名AV女優やアイドルの写真を使い「絶対いるわけねぇだろ!」という「いかがわしさ」「嘘八百加減」がいい味を出していた。勿論、一度も利用したことは無いが高校時代、同級生がこれを貼るバイトをやっていた事は知っている。貼っているときに逮捕されてもすべて自己責任だそうな。まぁ、そうだろうな。「組織」が身柄請けなんぞに来るわけがない(笑)

画廊を後にし、霧雨の銀座を歩きつつ考える。「すてかん」は最後の「見世物小屋」だったのではないか、と。街が綺麗になり、夜でも明かりが煌々とし、法律だの人権団体だのがうるさくなり、一見全てが「クリーン」に見える昨今、最早「見世物小屋」の出る幕は無いのかもしれない。勿論、自分は「昔は良かった」などと口が裂けても言わないが、全てを「クリーン」にするだけでいいのかい?!という思いがあるのまた、事実である。人間なんてそんな「クリーンな」生き物じゃない筈だろ・・・と4丁目界隈を気取って歩く連中を横目に、銀座線の階段を下る。


「小人プロレス物語」がないので代わりに「16文」を貼っておこう(笑)馬場っ、馬場っ!

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2012/12/14 / 01:29

最近、また「速いの聴きたい!」病再燃で、DESPISE YOU, NO COMMENT, EXTORTION, INFEST なんぞをしょっちゅう聞いている。そんなうちの一枚・・・いや、二枚。

tumblr_m3o3psvY8j1qemgrao1_cover.jpg Low-Threat-Profile.jpg
LOW THREAT PROFILE "Same Title" EP & LP

最近活動してるのかどうかは分からないが、アメリカのハードコア・バンドによる2010年リリースの2枚。どちらもタイトルは "Low Threat Profile" で日本の "あぶらだこ" と同じ手法(笑)

LTP Pic

音は言わずもがな、の "Short, Fast & Furious" なのだがやたらタイト且つ切れ味鋭い音が堪らなくカッコいい。NEGATIVE APPROACH ~ INFEST ~初期 VOORHEES を髣髴とさせるパワー・ヴァイオレンスでなく、あくまでもハードコアな音作りも潔し。イギーとBURZUMが融合して老齢化したような見てくれのVo.も強烈である。







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