I Don't Care About You !

ニヒリズムとナルシズムの狭間で

2012/10/30 / 01:18

先週末は土日とも仕事で、終わる時間次第によっては行けるかと淡い期待をしていたREPROACHの来日公演にも行けず、おまけに体調はイマイチだし天気は悪いしと少々ダウナー気味だったのだが取り敢えず、音源と本を漁りに行く程度の時間は取れた・・・というわけで釣果など。

PNB.jpg
PUNK NINJA BRIGADE "Booze, Weed and Fist Fights"CD

1st アルバム"Ninja Kills"CD が大層カッコ良かった伝説の横浜ハードコア・バンドによる未発表初期音源集。本作リリースの告知を見た時は "Heart Core" Demo の音源が収録されるのだろうと思っていたのだが・・・どうなんだろうね。俺、テープ持ってないから分からないんだ。

何れにしても、"Ninja Kills" が気に入った人であれば本作もきっと大好きになるであろう素晴らしい出来映え。ハードコアの曲はSIC時代と代わらない熱いシャウトを聴かせ、メロディックな曲では柔らかでエモーショナルな歌を聴かせてくれるKen さんのVo. が兎にも角にもカッコいい。

メロディックとは言っても最近の腐れた産業ポップ・パンクとは全く異なり、80年代USハードコアから派生した音なので当時、USHCを聴き漁っていた人であれば心に響いてくると思う。まさに"Heart Core"なのだと思う。ライヴ、見たいね!

続いて

MVD5457D.jpg
CIRCLE JERKS "My Career As A Jerk" DVD

LAはハリウッド出身のハードコア・バンド CIRCLE JERKS のドキュメンタリー・フィルム。Keith Morris、Greg Hetson のインタヴューを中心に当時の貴重なライヴ映像を加えた作品。

以前も書いたが、CIRCLE JERKSとDEAD KENNEDYS、SUICIDAL TENDENCIESは自分がUKハードコアからUSハードコアに嗜好が変わる切っ掛けになったバンドだけに思い入れも強い。

キースが本作で「CIRCLE JERKSはBLACK FLAGと比べればルーズなバンドだが、BLよりポップでエモーショナルで歌詞も直線的、皆で騒げるような音楽がやりたかった。」と語っているように、ひたすらストイックでロリンズの加入と共に内側への鬱屈の度合いもより深化するBFと比較するとCJのパンク・ロックからハードコアへの橋渡し的な明るく、ノリの良い曲が多くのハードコア・キッズを魅了したのが良く分かる。

面白かったのは、バンド名(Circle Jerk = 集団オナニー)の由来で、レイモンド・ペティボーンが「アメリカン・スラング辞典」の中から探してきた、との事。これは、知らなかったね(笑)アメリカ人でも「アメリカン・スラング辞典」読むんだ・・・・と考えてみれば当たり前の事に驚く。

あと彼等やBAD RELIGION がやっていたブーツの足首にバンダナ巻いて拍車を取り付けるってファッション、今の時代だからこそ余計にカッコよく見える。





スポンサーサイト

音楽 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/29 / 01:20

東京は、とても坂の多い街だ。

これは実際、東京という街に住み、暮らし、そして自分の足で歩くなり走るなりしないとわからない。例えば、不忍通りを護国寺から上野に向けて(逆でもいいが、別に)ランニングしてみればどれだけ起伏が激しいか、身を以て思い知らされる事となる。そしてこれだけ起伏の激しい東京にあって、東京マラソンが如何に平坦なコースを選定しているか驚嘆する。

此処最近、読み進めていた

   kuukann.jpg
 陣内秀信「東京の空間人類学」

読了。

本書の内容は・・・

東京、このふしぎな都市空間を深層から探り、明快に解読した、都市学の定番本。著者と紙上の探訪をするうちに、基層の地形が甦り、水都のコスモロジー、江戸の記憶が呼びおこされ、都市造形の有機的な体系が見事に浮かびあがる。日本の都市を読む文法書としても必読

・・・というもの。東京のみならず日本の都市というものに興味がある方なら楽しめる一冊になっている。

近年は「江戸趣味」とやらがブームらしく大きな書店へ行けば徳川時代の古地図等を解説した書籍が何冊も売られているし、池波正太郎のエッセイに名前が挙がるような所謂「昔の味」「東京の老舗」の前には例え蕎麦屋であろうとも長蛇の列が出来る。

しかしそれらは殆どの場合、所謂「下町」と呼ばれる東東京の低地が主たる場所であり、山の手地域は余り顧みられることが無いように思われる。大体、永井荷風が高下駄を履いて歩きまわっていた時代にしてから既に「江戸情緒」などというものは荒川土手や南砂町まで行っても見つからないものだったというのに、湾岸地区の開発が進んだ21世紀の現代にあって下町に江戸情緒を見出そうなど困難であることは容易に察しが付く。

自分が生まれた築地明石町の家の隣にはヴィクターの録音スタジオがあり、運河が流れていたそうだが、それも既に埋め立てられ雑居ビルになり、駐車場になり、今では正確な場所すら分からなくなってしまった。

その反面、例えば四ツ谷~市ヶ谷~牛込といった辺りには街の構造としての「江戸」が今も残っている。今の防衛省はかつて尾張様の屋敷だったわけだが、裏手にある大日本印刷の工場から神楽坂へ抜け、牛天神を経由して水戸屋敷(後楽園)から神田明神、ニコライ堂から小川町へ下って神保町から靖国神社を目指すコースを走ってみれば起伏の激しい土地を利用して非常にコンパクトに町が仕切られ、形成されている事に気付く。本書に記載されている四ツ谷~麹町~半蔵門に至る街並みも同様である。

加えて、東京をベネツィアと並ぶ「水の都」としての都市形成、商業活動や生活を解説した論旨も非常に分かり易く、興味深い。また繁華街における「角地」や橋の両端の所謂「橋詰」の役割についても銀座などを例にとれば簡単にイメージする事が出来る。

西欧の都市は教会や塔といったランドマークを中心に町が形成されたのとは逆に東京の場合は寛永寺や増上寺といった寺社を「鬼門封じ」として街の外縁に置き、その周囲に神社を置き、市街は格子戸で小さなコミュニティに仕切られている、という構造も風水などを考えながら読み解くと非常に興味深い。また元来、東京っ子が「拵えの小さなもの=粋」と捉えた感性もこのようなコンパクトな生活周辺環境から生まれたものではないか・・・等々興味は尽きない。

ともあれ、近年はランニングブームとやらで地方からも観光バス等で乗り付けては「皇居デビュー」等という言う風潮もあるようだが本当に東京に興味があるのなら、人が居ない明け方、コースを外れて市街を気ままに走ってみた方が絶対楽しい。坂の由来、町名の由来、街の構造・・・ガイドブックやグルメ情報では絶対に教えてくれない真の街の顔を垣間見ることが出来る・・・かもしれない。

書籍 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/22 / 01:54

秋になった途端、観光シーズンになるのか、はたまた何処かの組織の陰謀なのかは知らないが何処へ行ってもバカみたいに混んでいる春と秋が大嫌いだ。ただ混んでいるだけならまだいいのだが、最近は雑踏だろうが狭い店舗いだろうが混みあう電車だろうが周りの事などお構いなしにデカいキャリーバッグ(キャリーケース)を引き摺ってる奴等が多くて本当に嫌になる。それで無理やり俺の前を横切ろうとするからスチール・トゥのブーツで横からケースを蹴り上げてやる結果になる。あれ、持ってる奴等は牽引車運転してるのと同じだということを全く意識していないのだろう。

そんなわけで、画廊行っても映画館行っても激混みで、音源漁りに行っても店に居るのは青白い貧弱エモだのクソッタレなピザ厨という最低の週末だったがそれなりの釣果はあった。

BB.jpg
BAD BEACH "Seasick -Songs From The Deep" 2CD

御馴染みのBoss Tunageより再発された80年代UKメロディック・パンク・バンドのディスコグラフィCD。当時からバンド名とLPのジャケはレコード店で見て知っていたが「どうせドイツ辺りの冴えないバンドだろう」と思い聞かず仕舞いだった。

加えて自分はアメリカのカラッとしてスピード感満点のハードコアが好きなので、イギリスの湿っぽいメロディック・パンクってのがSNUFF(HUSKER DUに対するイギリスからの回答だと思う)を除いて基本的にダメで(笑)LEATHERFACE、HDQ、SINK、DEPRIVED、VISIONS OF DISORDER等、尽く魂に響かなかった。そんな理由から今回のブツもあまり期待はしていなかったのだが・・・これは、「当たり」だ。

曲自体はミッド~ミッドファストなパンク・ロックが多いのだがかなりヒネリの効いた個性的な曲と FEARリー・ヴィングやDEAD KENNEDYS のビアフラのように「コブシが回る」歌唱の組み合わせは非常に個性的で耳に残る。先日此処にも書いたテキサスのDICKS にも通じるところがあって面白い。ビアフラが自分のレーベル(テンタクルズ)から出したがっていた、という話も納得がいく。決してメジャーなバンドではなかったが、今更ながら「カッコいいなぁ!」と思う。当時、勝手な先入観でこの音源を取りこぼしていたのは残念無念。



あと一枚。

descent into hell
CIANIDE "A Descent Into Hell" CD

US(シカゴ)オールドスクール・デス、2枚目のアルバムが再発。再発に際しデモ音源追加の全15曲。昨年聴いた最新作 "Gods Of Death" が出色の出来だったのでこれは嬉しい再発。

音はHELLHAMMER ~ CELTIC FROST 影響下のアレに GOATLORD のようなズルッたスピード感。重低音で抉り、削り込むようなギターの音が実に良い。日本のCOFFINSが好きなら多分、ハマるのではないか、と思う(実際にスプリット音源も出しているし)。


音楽 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/19 / 01:13

昨今は時代小説ばかり読んでいたので気分転換にSF小説を手に取る。

      アンドロ夢羊
  ジョン・スコルジー「アンドロイドの夢の羊」

原題は "Android's Dream" である。わざわざフィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」に引掛けようとするから「こなれていない」変な日本語になるんじゃないか、と思いつつもページをめくる。

話の粗筋は・・・・

地球‐ニドゥ族の貿易交渉の席上で事件がおきた。戦争につながりかねないこの問題の解決のため、ニドゥ族は代償として特別なある「羊」の調達を要求してくる。期限は一週間。凄腕ハッカーの元兵士クリークがこの羊探しを命じられるが、謎の宗教団体に追われ、反ニドゥ勢力の暗殺者に狙われるはめに。そして、ようやく見つけ出した羊の正体とは……。〈老人と宇宙〉シリーズ著者がP・K・ディックに捧げた冒険活劇SF

・・・というもの。

「ブレードランナー」あり「ヴェニスの商人」あり「MIB」あり「攻殻機動隊」あり・・・の活劇である。何度も書いているが、どれもこれも手垢の染み付いた御馴染みのガジェットであり新鮮味は無い。しかし、非常に面白い。素早い場面展開、敵味方裏切者入り乱れたのキャラ造りの上手さ、「おっ!此処でこのネタ持ってくるの!」という匙加減。御馴染みのガジェットであっても使う場所によって効果の度合いが格段に違うという良い例。

そして其処此処で噴出するSFにあって非常に珍しく、且つ知的でヒネリの効いたユーモア。「老人と宇宙」でもそうだったがこの作者の(ある意味ブラックな)ギャグ・センスは自分のツボを突きまくり、思わず破顔したこと数度。これだけでも読む価値がある。

例えば・・・ちょっと長くなるが引用・・・・

ポープの見たところ、ニドゥ族はそのカーストや地位や階級に対するこだわりにもかかわらず、巨大な大銀河連邦の食物連鎖においては深海生物でしかない。大銀河連邦が国連だとすれば、ニドゥ族はブルキナファソのようなものだ。慢性的に発展の遅れた大陸にある、ちっぽけな、つまらない小国で、長い一日を土を叩いてすごす以外に何が出来る希望もない。問題は、大銀河連邦ではニドゥ族が最も近い同盟国だということだ・・・・

笑える。いきなりブルキナファソだよ(笑)そしてさらに問題なのは銀河系の序列においても軍備においても地球はニドゥ族より更に下位にあるということだ。かくして、地球人が「ブルキナファソ扱い」している爬虫類のような見てくれの、しかし軍事力では地球に勝るニドゥ族を牽制するため、陰謀の糸は張巡らされるわけだ。

また、臭いを言語として知覚できるニドゥ族を「おなら」を利用した臭い言語発生装置を用い

「あんたは連れ合いに種無しと笑われている」
「あんたの母親は藻とファックする」


と侮辱し続ける場面も秀逸である。

そんなわけで、読書が楽しくなる秋の夜長、払った金の元は十分取れる娯楽作品である。

書籍 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/15 / 01:16

土曜日、久しぶりに新宿NATに行って引き揚げてきた1枚が、かなりツボを突く一撃。

   350099.jpg
MINKIONS "Distorted Pictures From Distorted Reality"CD

イタリアン・クロスオーヴァー・スラッシャー1st アルバム。

アルバムのアートワークからわかるように、完全に THE ACCUSED インフルエンストなスプラッター・スラッシュ。

以前のデモアルバム"Stop Thinking Start Drinking" ではむしろ MUNICIPAL WASTE + TANKARD なスタイルだったのが若干スピードを落としてギターのエッジを立てたら ACCUSED になっちゃいました、という感じなのだが、昔から ACCUSED は大好きなバンドなので DENIAL FIEND (現Vo.はex THE ACCUSEDのブレイニーだが)や ADA+MAX のようなバンドが出て来るのはとても嬉しい。

因みに"Third Millenium Fascist Pig" のイントロがMAYHEM "Freezing Moon" みたいで笑える。




此方では今とは違った MUNICIPAL WASTE インフルエンストな音を出している。

音楽 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/15 / 00:34

先週末辺りから、漸く涼しくなりはじたので袖無しの革ジャンを着て歩いている。一年のうちで袖無しのライダースを合わせられる期間は極々短いので外に出ているのが楽しい。そして今週末は久しぶりに神奈川の実家に戻っていたのだが、やはり神奈川は良い。気持ちが落ち着く。

というわけで時折、霧雨が舞う肌寒い日曜日。昼に家を出て新宿のユニオンで中古盤を漁ってから、ギャラリー新宿座で行われている

   DSC_0877.jpg
  「杉浦則夫写真展 女、裸、縄 感じいるもの」

を見に行く。

「S&Mスナイパー」「マニア倶楽部」といった雑誌を手に取った事のある人であれば誰もが見た事あるであろう杉浦氏の写真だが、今回の個展はその中から選りすぐりの作品を展示している。

先日、谷崎潤一郎作品についての日記にも書いたがサドマゾやフェティシズムが現代のように(間違った一般論も含めて)ある程度の市民権を得る遥か前、「変態性欲」として一部の好事家の間での秘め事だった頃の趣き、所謂「昭和の香り」漂う作品は妖艶であり、そして本来は捕縛術から派生したのであろう「緊縛」を様式美にまで高めた被写体のポージングや恥じらい、責めに耐え忍ぶ表情は、潮吹き等と称し大股開きで何の羞恥心も無く小便を撒き散らし、自ら積極的に中出しを求めるようなAVが溢れる昨今故、「羞恥」と内なる快楽を噛み殺した「苦悶」は余計に素晴らしく思える。

加えて、今回の写真展を始めとしたSM関連の展示を見ていつも思うのが「縄映えする身体」というのがあるのだな、という事。デブや巨女というのは自分にとっては論外だが、やはりある程度の肉付き、付くべきところに脂肪が付いていないと・・・自分は勝手に「ルノワール体型」と呼んでいるのだが・・・全然面白くない。やはり、身体に食い込んでこその「縄」だと思うからだ。

そんなこんなで非常に面白かった今回の個展。自分は杉浦氏が撮影した「刹奈紫之写真集・恋縛美少女」が平成8年の発売以来、未だに抜きネタであり続けている事を申し添えておく。

   shono sestuna

表紙はごく普通だが中身はドエロい。この方、主として黄金プレイの方面で有名であり、自分は其方の趣味は無いのだが、実に縄映えするいやらしい身体、そして顔(口唇)をしているな、と思う。


SM/フェチ / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/11 / 01:14

今年一番のハマりネタ、在日ファンクの新譜がリリースされたので早速入手。

   renraku.jpg
         在日ファンク "連絡" CD

今回は一応、ミニアルバム、という扱いらしくVo. ハマケンの曲のみならずメンバーも曲を提供し曲間に "Interlude" を挟む、という構成。そのためか前作までの JB直系のコッテコッテ・ファンクは少しばかり後退し、若干ジャジーな大人の(笑)雰囲気を醸し出している。曲によってはクレイジー・ケン・バンド風のものもあって中々面白いと思う。

ただし自分は前作の"マルマルファンク" "きず" "爆弾こわい" のようなひたすらリズムを反復するP-FUNKやJBのような濃厚ファンクが好きなので自作はもっとドバッ!と出して貰いたいところ。

しかし、彼方此方で彼等のレヴューを見ていると「歌詞に意味が無い」だの「歌詞がくだらなさ過ぎる」だの本当に何を言ってやがるんだ、と思う。ファンクってのは身体で感じる音楽であって別に歌詞をじっくり聴く音楽じゃない。そういうのは音を体で感じられない連中なのだろう。MOTORHEAD "Overkill" の歌詞

♪アンタの身体は動くためにできてる 
   体で感じられないならロックンロールを名乗る意味が無い♪


じゃないが身体で音を感じられないなら部屋で膝抱えて、盗んだバイクで走りだしたり、夜の校舎の窓ガラス割ったりする歌でも聴いてろよ。




 ♪爆弾こわい♪ いいねぇ。一度ライヴ、見てみたい!!

音楽 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/10 / 01:18

先日、書店で見つけた

    tanizaki.jpg
    谷崎潤一郎「フェティシズム小説集」

読了。

昨今は三省堂のような超メジャーな書店でもコミックのコーナーに行けばデカデカと「BL」等と貼ってある御時勢なので、フェティシズムなんて言葉も市民権を得ているのだろう。

収録されているのは

「刺青」
「悪魔」
「憎念」
「富美子の足」
「青い花」
「蘿洞先生」

の6作品。

谷崎作品について自分は、新潮文庫版を中心に読んでいた事から、此処に収録されている作品は「刺青」の他は未読だったので良い機会だと思い手に取った。「刺青」を最初に読んだのは中学生の頃で、以後、折に触れて読み直してはいるのだが今また精読してみるのも良かろうと思った、という理由もある。

谷崎作品について語られるとき、必ずと言っていいほど「マゾヒズム」「フェティシズム」の2語は登場するわけだが、自分はそれらすべて通り越して行きついた先はマザコンに端を発する女性崇拝ではなかったか、と思っている。しかし、こうしてフェチ、特に脚フェチ絡みの作品を中心とした短編集を編んだ出版社もなかなか面白い趣向を持っている。「刺青」にしてからが「光輝ある美女の肌を得て其処に墨を入れたい」という彫師の欲望が発端なわけだが、結局、女を選ぶ要素が「駕籠に乗る際、チラリと見えた足」である。要するに

「結局、肌とかどーでもいーんだろ!足に墨入れんのかよ!(笑)」

という事。

そして改めて読んでみて、この男(谷崎)筋金入りの変態だな、と思う。特に「富美子の足」で絵のモデルになる富美子のポージングに関して延々と書かれている内容は圧巻である。

「こいつ、頭の中、妄想でパンパンにして書いてるのだろうなぁ」

と手に取るようにわかる程、熱情に溢れ、筆がその力に動かされている。

60過ぎの老人が臨終の際、17歳の妾である富美子の足で顔を踏まれたまま逝く場面 も秀逸である。こんなシーン、本人は天国だからいいのだろうが、駆け付けた家族(娘)には地獄、周りはドン引きである。

「悪魔」にしても 女が洟をかんだハンカチを盗み出し、トイレに篭って付着した鼻水をベロベロ舐め回す場面 は最高である。やはりフェチを名乗るからにはこのレベルまで行かないとダメだ、と改めて思う。

冒頭に書いた通り、昨今は「フェティシズム」という言葉も市民権を得て(?)そこら辺のチャラい連中が軽く「俺、脚フェチでさ~」だの「俺、巨乳フェチなんだよね」などという発言をしているのを耳にするが、そのたび「お前のフェチってなんだよ」と思う。

ハッキリ言って、巨乳AV嬢のAVで抜いてる程度は「巨乳フェチ」でもなんでもない。フェチであるか否かの分水嶺は「アロマ企画」等で出している「乳しか映ってない」「モノを食ったり飲んだりする女の口しか映っていない」ような作品で抜くことが出来るか否か、だと思う。単に女性の足に性的興奮を感じるなんてのは別にフェチでもなんでもない。本当のフェチなら、洗ってない指の又を舐め回すことが出来るか、或いはこの作中にあるように 足指の間に飲み物やスープを染み込ませた布を挟み込み、それを口でちゅーちゅー吸えるか という事である。

村上龍「トパーズ」が流行って以降、軽々しくSだのMだの言う連中が増え、一部では 「俺、Mなんだよね~」と発言するのがあたかも知的であるかの如く勘違いしてる輩 がいるわけだが、フェティシズムにしろサド・マゾにしろ元を質せば「変態性欲」である。おおっぴらに語る類のモノではない。逆に「ひそやかな楽しみ」であるが故、純度の高い快楽になり得るのではないだろうか、と思う。

因みに本作のあとがきで女優の田中美里氏が「ひょっとしたらもうこの本に書かれている世界を知っている、なんて人もいたりして。だとしたら、ちょっと怖い(笑)」と書いておられるが、自分は刺青は入れていないし脚フェチでもないが、此処に書かれている事の多くは実体験している。であるから「青い花」で女の買い物に付き合いながら妄想を巡らせる主人公の気持ちは手に取るほど、良く分かる(苦笑)

そんなわけで、漸く秋らしくなってきた昨今。部屋の窓を開けて夜気を入れつつ純度の高いフェティシズムの世界の浸ってみるのも乙なものかもしれない。また此処に治められた作品群が名作「痴人の愛」に結実していくのだな、という読み方もできる。

最後にもう一つ。「悪魔」の1節

「きっとあいつは照子に惚れて、onanism に没頭した結果、馬鹿になったのに違いない。」

「オナニーをしすぎるとバカになる」という話はよく聞くが(笑)、すでに明治時代からあったのか・・・と笑ってしまった。


SM/フェチ / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/09 / 00:45

本日より銀座「ヴァニラ画廊」にて開催中の

  「人造乙女博覧会Ⅲ」

の初日に御邪魔してきた。

初めて実物のラヴドールをこの目で見、そして触れ、その表情や肌の質感に衝撃を受けた2010年GW開催の「人造乙女博覧会Ⅱ」以来、約2年半ぶりの「逢瀬」である。

art.jpg artificial.jpg

今回は、ラヴドールの制作販売会社であるオリエント工業の35周年記念という事で「愛玩人形家具」が展示されるのが大きな見どころとなっている。この「愛玩人形家具」とはフライヤー画像右端に写っているバーカウンターと一体化した人形に代表される「人形と家具との融合」である。因みにこの作品、背中にチューブが取り付けられ足下に置かれたサーバーからドリンクをくみ上げて左の乳首から注ぐ、という作りになっているようだ。

この他にもフライヤーの表面にある天使の羽を装着した人形が2体、しどけなく椅子に座った人形1体、触感を確かめるための人形1体、そして書棚と一体化した人形1体の計6体が展示されており、加えてテーブルと一体化した人形のポスター等で構成されている。「書棚」については蛇腹式カメラや「ロビンソン・クルーソー」「白鯨」「宝島」等の背表紙が一緒に並んでいるのが楽しい。そしてどの人形も、人形とは思えぬほどに美しい。

しかし、彼女達は「ラヴ・ドール」である。基本的に、男の性欲の対象として抱かれるために生まれてきた。であるから当然、その体型や頭部は「男の性欲を刺激する形」になっている。性欲の対象としての形の好みは千差万別十人十色である。

個人的な話をすれば、自分が最も性欲を刺激される女性の顔はズバリ、井川遥と石原さとみである。加えて自分は唇フェチなので唇を含めた口の造形は勿論、目鼻立ちとのバランスも大切で「ただ唇がぽってりしてればいい」というものでもない。こういう「こだわり」は誰にでもあると思う。

何が言いたいかというと、千差万別な性欲の対象を商品として売り出すための具現化・最大公約数化のレベルがオリエント工業の人形の場合、非常に高い、という事である。前回の「Ⅱ」では頭部のみが幾つも展示されてたのだが、必ずその中に自分好みの(やりたくなる)「顔」がある。

DSC_0872.jpg

以前にも書いたが、もし部屋を開けて自分好みの顔を持った等身大のラヴドールが置いてあり、誰も居なければ、俺は自分の性欲を抑えておける自信が無い。人形(ひとがた)には、時として魔が宿る。人形を抱くという後ろめたさ。そして人形だからこそ「己の欲しいまま、何でもできる」という好奇心や悪戯心。余談だが、うちの職場には検視・解剖用の人形があるのだが、そのチンコを取り外して人形の口に無理やり突っ込み、「マフィアの処刑!」と言って喜んでいる自分と同種のやんちゃ感。感情が無いからこそ、どんな無茶な要求にでも応えてくれる(そりゃそうだ!)というNG無しを公言するM女を前にしたときのようなドキドキ感。そのくらい、男の感情と性欲を刺激するように作られている、ある種「芸術品」であると言えよう。

多分「男の性欲を刺激する顔、身体」の膨大なデータを収集し、研究し尽くした結果「あの造形」が生まれてきたのだろうが、人の好みというのは時代に連れて移り変わる。それはオリエント工業のカタログでラヴドールの変遷を見れば直ぐに分かる。であるから移り変わる「性欲のトレンド」に合わせてどのような商品開発を行っているのか、その会議や研究の現場を是非とも見学してみたいものだと思った次第。

DSC_0870.jpg

とお堅いことを書き連ねたが、前回の展示と同様、「あ~、一度ヤッてみたい」というのは男であれば誰しも思う筈。オリエント工業さんにはこれからも末永く、男の性欲を刺激し続ける素晴らしい人形を作り続けて頂きたいと切に願うばかりである。

SM/フェチ / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

2012/10/09 / 00:35

3連休間、VOIVOD の再発盤LP 以外にも何枚か引き揚げて来たので釣果の中から一部御裾分け。

先ず、スウェーデンの WITCHCRAFT、GRAVEYARD のメンバーが在籍するハード・ロック・バンド

CRLP-019.jpg
SPIDERS "Flash Point"CD

もうジャケットからして昔のヘルズ・エンジェルズ関連の映画みたいである(笑)GRAVEYARD も WITCHCRAFT もDoom というよりは 70年代ハード・ロックに根差した「全く以て今時ではない」音を出しているバンドなので、今更女性Vo.を連れてきてスージー・クアトロみたいな音を出す必要があるのだろうか・・・と言っては元も子もないのだが、まさにその「スージー・クアトロみたいなロック」がやりたかったのだろう(苦笑)

とはいうもののメンバーがメンバーなのでアメリカンなR&RというよりはもっとMOTORHEAD的な曲もあったりして面白い。最も、このままバンドとして大成するでしょうか、と問われれば「・・・・・」なのだが、まぁこの手が好きなら聞いてみてもいいんじゃないでしょうか?程度は言える出来にはなっている。




あと一枚。

ジャパニーズ・オールドスクール・デス

coffins_march_(big).jpg
COFFINS "March Of Despair" CD

新作5曲入りCDEP。基本的には1枚目から全く変わらない&時流を完全に無視したオールドスクール・デス。AUTOPSY というよりは GOATLORD に近いズルズルべったり感が堪らなくカッコいい。「変わらない」とは言いつつ、アルバムを重ねるごとにただスローで重いだけではないリズムのキレや絶妙な躍動感が出てきたのが素晴らしいと思う。今回の中では2曲目 "Grotesque Messiah" のベッチャリとしたスピード感(笑)がツボ。DEATH / MASSACRE のカヴァー "Corpse Grinder" も良い。




音楽 / TRACKBACK(0) / COMMENT(0) / PAGETOP

ホーム / NEXT